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安倍首相・甘利コンビの民間介入に、経済界が「経済音痴」「トンチンカン」と一斉反発

文=編集部
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榊原経団連の迷走

 経済界では、榊原氏と経団連元副会長で三菱商事会長の小島順彦氏との対立を指摘する声が強まっている。経団連会長のポスト争いで、小島氏は榊原氏の対抗馬だった。

「榊原さんが無理を言える数少ない経団連人脈は、三井物産の飯島彰己会長(経団連副会長)と三井不動産の岩沙弘道会長(元経団連副会長、現審議員会議長)の2人だけだ」(経団連幹部)

 会員情報誌「FACTA」(ファクタ出版)によれば、TPP交渉の舞台となったホテルに飯島氏が姿を見せたのは、榊原氏の意を受けて甘利TPP担当相に「お疲れ様でした」と声を掛けるためだったという。経団連は米倉弘昌前会長の時代に政権との関係が冷え込んだが、その反省があるとはいえ、「飯島さんの行動には、多くの経団連副会長が眉をひそめている」(経団連関係筋)という。

 こうした経団連の迷走ぶりは、新卒学生の採用選考後ろ倒し問題でも顕著に現れている。13年6月に政府は入社試験の開始を8月以降とする旨を盛り込んだ成長戦略を閣議決定した。それに先立つ11年、経団連は日程後ろ倒しについて「就職活動の長期化につながる」と提言していたが、13年に閣議決定がなされるとルールを改定した。そして今年、新日程の弊害が社会問題化すると、従来の4月からは若干遅らせて6月前後にする方向で検討に入った。批判を受けてたった1年で方針を転換した格好となる。

 日本商工会議所は選考開始を来年は6月、再来年以降はさらに検討が必要としている。経団連の会員企業の間からも8月から前倒しするよう求める声が多かった。ただ、6月は株主総会が集中し、「選考に時間を割けない」と懸念する向きもある。経団連は会員1300社に実施したアンケートの結果を踏まえて、最終判断することになるが、選考の開始時期はさらに前倒しされる可能性もある。

副会長選び

 経済界からは、「榊原氏は安倍首相の小間使い」という辛辣な声もすでに出ている。榊原氏の出身母体である東レは、三井グループの合織最大手。炭素繊維で世界首位だ。来春の経団連副会長の人選で、三井グループの会長・社長を優遇するといわれている。排斥される格好になる三菱グループはどうするのか。反撃の狼煙を上げることになるのかに注目が集まる。

 現在の経団連副会長の中で、16年に2期4年の任期切れを迎えるのは荻田伍・アサヒグループホールディングス相談役と石原邦夫・東京海上日動火災保険相談役だ。石原氏はメガ損保で国内首位の東京海上ホールディングスの経営トップを歴任した。同社は三菱グループの中核企業である。13年に就任した佐々木則夫・東芝元副会長は同社不正会計問題で経団連副会長を引責辞任している。

BusinessJournal編集部

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