ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 「家族の常識」を勘違いし続ける永田町  > 3ページ目
NEW
江川紹子の「事件ウオッチ」第40回

「再婚禁止と夫婦別姓規定」最高裁判決に注目集まる 家イデオロギーに固執してきた永田町の「非常識」

文=江川紹子/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, , ,

 自身の価値観を「常識」と評価し、それ以外の価値は(最高裁判決まで)「非常識」と切って捨てる感覚には、驚かされた。ただ、今の自民党では、家長が家族員を支配する「家」制度や性による役割分業(これを彼らは「伝統的家族制度」と呼ぶ)に郷愁を抱く復古主義的イデオロギーは、安倍晋三首相を含めて、むしろ主流のようである。永田町だけ見ていると仲間が多いので、これが「常識」と勘違いしているのかもしれない。

 世の中では、意見はもっと多様である。しかも、憲法遵守義務のある国会議員が、自身の価値観に合わないからといって、「憲法が間違っている」と断じるとは相当に問題だ。こんな発言を平然とできるところに、同党内の憲法軽視の風潮を見て取ることができる。

 最高裁は、そのような時の権力層に迎合し、ほとんど化石のような明治民法由来の規定を維持するのだろうか。それとも、そうした政治の状況とは関係なく、司法が「法の下の平等」と「個人の尊重」を保障した憲法の理念を守り、時代に合わせた法整備への道を切り拓こうとするのだろうか。

 年内にも出されるといわれている判決に注目したい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


Facebook:shokoeg

Twitter:@amneris84

「再婚禁止と夫婦別姓規定」最高裁判決に注目集まる 家イデオロギーに固執してきた永田町の「非常識」のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!