また、台風被害に関する国会質問で、森議員が「イタリアは避難者の精神面に配慮して、フルコースにワインまで用意をする。日本もいつまでも体育館にゴザではだめだ」といった趣旨の発言をしている。
そういった次々に出てくる森議員に関するニュースにだんだん怒りが湧いてきて、私は原氏のツイートを引用して、次のようにツイートした。
「これまで注目していなかったが、森ゆうこ議員は本当に最低の政治家。この数日で、自然災害を無視した官僚への無配慮、加計学園の問題資料、被災地にワインを出せなどという暴言、原英史氏への議員特権を使った侮辱と、信じられないほどの瑕疵の連続。こんなの政治家として失格だろ。即刻除名すべきだ」
これまで注目していなかったが、森ゆうこ議員は本当に最低の政治家。この数日で、自然災害を無視した官僚への無配慮、加計学園の問題資料、被災地にワインを出せなどという暴言、原英史氏への議員特権を使った侮辱と、信じられないほどの瑕疵の連続。こんなの政治家として失格だろ。即刻除名すべきだ。 https://t.co/uvuGiCLP12
— Tsukasa Shirakawa (@lingualandjp) October 18, 2019
このツイートを投稿した時点では、森議員が「避難所にワインを用意しろ」と言ったという報道があったので、そのまま書いてしまったが、事実ではなかった。お詫びして訂正する。
ただし、これでイタリアが正義、日本が悪ということにはならないだろう。日本では、災害に耐えられる丈夫な体育館や講堂を小さな町にもつくっている。これは、いざというときに避難してもらうためであって、まず命を守るという点で正しい。
もちろん、避難生活が長引くときのストレス対策も重要だ。機動力を生かして、いざというときにリソースを集中させるイタリア式がいいかといえば、予算的に無理だろう。今回の台風のように被害が広範囲に及べば、その前にやらなければならないことが山ほどある。ストレス対策なら、被災者にフルコースとワインを振る舞う前に、被災者のプライバシーをどう保つかを考えるべきだろう。
ところで、この私のツイートは本原稿執筆時点で6695の「いいね」がなされており、思いのほか共感する人が多かったことがわかる。森議員の過去の不愉快な言動などを教えてくれる人もかなりいた。
働き方改革先導しながら官僚を酷使
この炎上騒ぎでわかったのは、日頃から森議員に対して良い感情を持っていない人たちが多数いるということだ。それは、メディア出演のときの言動や、国会で官僚に対する居丈高な態度など、些細なことが積み重なった結果だろう。
もし森議員が早い段階で、全面謝罪とはいわないまでも、せめて儀礼として「官僚の方々に迷惑をかけたとしたら申し訳ない」といったツイートをしていれば、ここまで炎上することはなかっただろう。
だが実際は、これを「質問の情報漏洩」と決めつけ、原口一博国対委員長が中心となって野党調査チームを立ち上げた。「情報を流した官僚を見つけ出し制裁する」ということなのだろう。しかも、今後、政府側に対する質問の事前通告は「簡潔な通告文」にとどめると発表した。
はっきり言うが、これでは恥の上塗りだ。なぜ炎上したか、頭を冷やして考えたらいかがだろう。
森議員はこれまで、過労死の問題なども扱い、働き方改革では労働条件緩和を主張してきた政治家である。その当人が官僚をこき使うようなことをしたから炎上したのである。国民は政治家のダブルスタンダードをいちばん嫌うものである。
それなのに、「いじめている側」が、さらに「いじめられている側」を追い込んだら、国民がどちらに同情するかは言うまでもない。「追いつめられたら逆ギレして、相手を威圧して黙らせる」という恫喝的手法は、さらに支持者を失うことがわからないのだろうか。野党には、官僚をいじめるよりもっと大事なことがいくらでもあるはずだ。政治家にとって官僚はいじめる対象ではなく、国民のために活用するべき人々だ。
私は「改憲議論に応じる」と明言した国民民主党の玉木雄一郎代表に期待してきた。改憲する、しないの前に、「議論にすら応じない」という野党の不遜な態度は、これまでどれだけ多くの支持者を落胆させ、失わせてきただろう。これでは、「とにかく改憲は悪」という考え方の人しか支持できない政党になって当然である。
いくら玉木代表が“開かれた野党”をつくろうとしても、肝心の幹部陣がこれでは、とても希望など持てない。森議員や原口議員のような野党議員こそ、“安倍一強”を生み出す原因になっていることを自覚してもらいたい。少なくとも、安倍晋三首相は日本のことを考えている。反対に、野党の政治家の一部は自分たちのことばかり考えている。
(文=白川司/ジャーナリスト、翻訳家)
白川司(しらかわ・つかさ) 国際政治評論家・翻訳家。世界情勢からアイドル論まで幅広いフィールドで活躍。最新刊に『議論の掟』(ワック刊)、翻訳書に『クリエイティブ・シンキング入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)ほか。「月刊WiLL」(ワック)、「経済界」(経済界)などで連載中。
森ゆうこ議員の性格を表す一枚。平らなところなら構わないと思うが、段差があるから、後ろの視界の邪魔になる。 https://t.co/g5IkqcI4IC
— Tsukasa Shirakawa (@lingualandjp) October 20, 2019