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身内の報道姿勢は棚上げ?
そもそも、産経新聞を含むフジサンケイグループは、公平とはいえない報道を散々行っている。たとえば安倍晋三首相は7月20日に、フジテレビ系ニュース番組『みんなのニュース』に単独生出演した。これは、安全保障関連法案が衆院を通過したことを受けて、自ら「国民に向けてわかりやすく解説する」ことが目的だったという。そのほかにも、『BSフジLIVE プライムニュース』など、フジサンケイグループは安倍首相を単独でテレビ出演させ、その主張を一方的に国民に伝える機会を提供しているのだ。
産経の記事の主張に沿えば、そもそも安倍首相だけをテレビに露骨に出すことは、放送法に反するだろう。異論を唱えている政党の党首、たとえば日本共産党の志位和夫委員長などを必ず番組に呼び、安倍首相が発言した時間とまったく同じ時間を与えて、できる限り反論させるべきだ。いや、さらに厳密に考えるのであれば、番組の時間枠の中で、同じだけの時間をすべての党に公平に与えるべきということになる。
果たして放送法は、そこまでガチガチに「公平性」を要求しているだろうか。あくまで放送局の自主性に委ねられている部分が大きいからこそ、フジサンケイグループも自主的な判断で安倍首相を単独出演させているのだろう。
確かに、岸井氏の発言が適切だったかどうかは議論が分かれるところだろう。しかし、少なくともフジサンケイグループのテレビ番組が、産経新聞の主張するような厳密な公平性を守る考え方に従って番組制作をしているかは、極めて疑問だ。今回の産経の記事は、身内の番組制作を棚に上げて、放送法についてご都合主義な解釈をしているだけではないだろうか。
(文=則本正義/フリーライター)
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