三重県桑名市にある六代目山口組・髙山清司若頭の別宅に銃弾を撃ち込んだとして、銃刀法違反容疑で逮捕された元組員が今月4日送検された。関係者らの話によれば、この元組員は、五代目山口組時代に一世を風靡した二次団体系列組織に在籍していたという。
「聞く話では、五代目山口組の有力二次団体で執行部を務めていた組織に在籍していたようで、その後、二次団体が五代目山口組から処分されると、別の二次団体(現在は解散)に移籍。現役のヤクザの経歴としては、そこの組織が最後だったようだ」(業界関係者)
この経歴からして、容疑者の元組員は神戸山口組に近い人物と目されたが、それにより危惧されたのは、今回の発砲事件による六代目山口組からの報復や、それによる抗争の激化だったのだが、六代目山口組から出された通達は、報復を禁じるというものだった。
「発砲事件後、病院や駅などの公共の施設においての暴力行為の厳禁と共に、いわゆる『返し』といわれる報復を禁止する通達が出されたようです。報復によって予想される当局のさらなる規制を回避するための組織防衛策といえる。負傷者も出ていない今回の事件に対しては、当局から取り締りを強化されてまで、報復に動くことではないと判断したのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
ただ、通達はそれだけではなかったといわれている。1月に任侠山口組から名称を変更した絆會への攻撃も禁止しているというのだ。
「名称変更後、絆會関連組織は、事務所にあった山口組の菱の代紋や三代目田岡親分(三代目山口組田岡一雄組長)の写真などを外したといわれていた。同時に六代目山口組の中核組織、三代目弘道会では、絆會に対して組員の引き抜きや攻撃などを禁ずる伝達が出されたともいう。その経緯から見ても、六代目山口組サイドと絆會では水面下でなんらかの動きがあったと考えても不自然ではないのではないか」(業界関係者)
その絆會では近々、新たな人事と今後使用する代紋についても公表されるのではないかといわれており、SNSなどでは、さまざまな憶測や偽物と見られる人事表や代紋までが拡散されている。また絆會では今後、組織の紋章に対して、代紋という呼び名を使用しないようだという話も出ている。本当だとすると、結成時に掲げた「脱反社会的勢力を目指す」という意思の表れ、暴力団と見なされることへの脱却策のひとつなのかもしれない。
そして神戸山口組でも、その中核組織で、現在、中田浩司組長が逮捕・起訴され、トップ不在を余儀なくされている五代目山健組も動きを見せている。
「若頭補佐や幹部を増員させ、五代目体制発足以来、空席だった本部長に三代目妹尾組の物部浩久組長が就任しました。妹尾組といえば岡山市内に本拠地を構える武闘派組織で、初代組長は四代目山健組発足時に若頭の重責を務めたことでも知られています。中田組長の社会不在が長期化することを踏まえての組織固めに入ったといえるのではないでしょうか」(実話誌記者)
六代目山口組と神戸山口組。特定抗争指定暴力団に指定され、活動を一層制限されている状態にありつつも、組織防衛を優先させながら、水面下ではさまざまな動きが起きているようだ。
(文=沖田臥竜/作家)