感染拡大が止まらず、日常生活に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス。安倍晋三首相は全国の小・中・高校に対して“臨時休校”を要請したものの、識者を含めて激しい議論を巻き起こすことになった。
報道によると、安倍首相は2月27日に「子どもたちの健康・安全を第一に考え、多くの子どもたちや教員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点」から、臨時休校を要請すると発表した。特別支援学校も含め、臨時休校期間は“3月2日から春休みに入るまで”だという。
安倍首相の要請について、千葉市長・熊谷俊人氏は同日更新のツイッターを通して「いくらなんでも…」と苦言を呈し、続けて「医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねません」「学校を一斉休校にして、親が満員電車に乗って仕事をして帰ってきたら意味が無い」などと危険性を訴えた。
“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹氏も同日にブログを更新し、「あまりに突然 しかも 企業や職場の責任者への具体的な保護者サポート策の要請もなかったものですから 学校も保護者も大混乱しているのは当たり前です!」と驚きを隠せない様子。「緊急措置はコロナ封じ込め対策としては極めて的確だと思います」「ただ保護者が休み易い措置をとるように雇い主さんに要請することが大切」といった持論を展開している。
また、立憲民主党の蓮舫参議院議員は28日、今回の要請に“保育所・学童は原則含まれない”という報道をツイッターで引用し、“働く親に考慮”という理由について「新型肺炎へのリスク対策と言いながらこの科学的根拠なき線引きに驚く」「場当たり的政府の対応はどうなの?」と怒りを露わにした。
ネット上に寄せられたコメントを見ても、批判的な意見があふれており、
「緊急事態とはいえ本当に急だし、何より一国の首相として対応が遅すぎる」
「まさに、なんでも思いつきで動く安倍政権らしいやり方」
「建前上は個々の判断次第となっているけど、首相のトップダウンなのだから事実上の強要に近い」
「簡単に“要請する”なんて言わないでほしい。基本方針や具体的な対応策は政府内で決まっているの?」
といった反応が上がっている。
さらに、両親が共働きのケースを踏まえ、臨時休校措置がさらなる感染拡大を引き起こしかねないという指摘も目立つ。「監視の目がなく外へ遊びに出てしまったら、より感染を広めてしまうだけなのでは?」「祖父母に預けたくても、子どもが無症状なだけで実は感染していたらと思うと怖い」などの声が寄せられており、先行き不透明な要請に不安を抱える人の多さが浮き彫りとなった。
また、今回の決定が安倍首相の“独断”であったことも波紋を呼んでいる。報道によると、休校要請の方針が与党幹部に伝えられたのは公表される直前で、萩生田光一文部科学大臣にも“春休みまで”という期間については知らされていなかったという。
あまりにも急な一斉休校要請は、今後どのような事態を招くのか。いずれにしても、新型コロナウイルスの問題が一刻も早く収束することを祈りたい。
(文=編集部)