日本国内で結婚相手紹介サービスを営む主要事業者19社が6月6日、業界横断的な協議会を設立した。名称は「一般社団法人 日本結婚相手紹介サービス協議会」。国内の上場企業を含む主要企業で構成している。未婚化、晩婚化が進み、結婚相手紹介サービス業の社会的な役割が高まっている今、業界の信頼性向上を図り、利用者の信任を獲得する狙いがある。
日本国内の婚姻件数は2000年が79万8000件、10年が70万件、15年には63万5000件と年を追うごとに急激に減少している。10年の国勢調査によると、25歳から39歳の未婚率は男女ともに上昇しているほか、生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合)は10年時点で男性が20.1%、女性も10.6%に上っている。
また、平均初婚年齢は13年で夫が30.9歳、妻が29.3歳と上昇傾向を続けており、結婚年齢が高くなる「晩婚化」が進んでいる。
未婚男女の9割近くが「いずれ結婚するつもり」という意向を持っているものの、現実には未婚化が進行している。結婚を希望する独身者にとって厳しい環境になっていることは確かで、民間の結婚相手紹介サービスへの期待は高まっている。
今回結婚相手紹介サービスを営む事業者がこうした協議会を設立する背景には、一部の悪徳業者や個人による結婚詐欺などの事件が、いまだに全国で起きている事情などがある。そうした一部の不良業者などとは一線を画し、業界が一丸となってさまざまな活動を展開する意向だ。
協議会に加盟する19社の16年1月1日現在の登録人数は30万6509人。婚姻件数が年々減っているなかで、年間成婚者数は年々増加している。
結婚相手紹介サービス利用への助成金支給提言も
協議会の具体的な事業計画としては、学術機関や公益団体との連携による独身者の動向調査や調査結果にもとづく民間事業者の活用に関する政策提言、消費者向けの啓発・PR活動、消費者相談窓口の運営など。このうち政策提言には、結婚相手紹介サービスの利用者に対する助成金の支給や、地域住民の結婚相手紹介サービス利用を促進する地方自治体への助成金支給、民間企業への少子化対策としての助成金の支給なども含まれている。
助成金を出してもらうことで、民間の結婚紹介サービスをもっと積極的に利用できるようにしてほしいという、業界にとってやや都合のよい内容ともいえるが、これだけ晩婚化や少子高齢化が進んでいるなかで、助成金によって結婚する人が増えれば、一定の政策的効果が期待できると見ることもできる。
少子高齢化に歯止めをかける有効な対策についての模索が続くなか、こうした民間の結婚関連業界の取り組みが一助となるのか。今後の具体的な成果が注目されている。
(文=編集部)