7月31日に投開票される東京都知事選候補者のひとり、ジャーナリスト・鳥越俊太郎氏の周辺が、慌ただしくなっている――。
公示2日前に突如出馬を表明した鳥越氏は、出馬会見で「公約はこれから考える」と発言。さらにほかの候補者とくらべて極端に1日当たりの演説回数が少なく、候補者による討論が予定されていたフジテレビ番組への出演をキャンセルしたとも報じられており、準備不足を指摘する声も多い。
そんななか、21日発売の「週刊文春」(文藝春秋)は、鳥越氏の女子大生淫行疑惑を報じている。記事によれば2002年、鳥越氏は女子学生(当時)を自身の別荘に誘い、嫌がる女性にキスをして行為を迫ったが、女性は拒否したという。
この報道を受け鳥越氏は、「文春」に抗議文を送付するとともに、公選法違反罪(選挙妨害)などで東京地検に告訴状を提出したが、週刊誌記者は語る。
「公示期間中にこのような候補者の醜聞を報じるというのは、『文春』としてもよほどの確証を持っているからでしょう。また、別荘訪問の後日、この女性と知人を交えた3人で話し合いの場が持たれたことを記事内で鳥越氏も認めていますが、いったいなんの話し合いだったのか、疑問は深まるばかりです。いずれにせよ、鳥越氏の陣営にとっては大きな痛手といえるでしょう」
では、もしこの報道が事実であれば、鳥越氏はどのような法的責任を問われる可能性があるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates弁護士の山室裕幸氏に解説してもらった。
強制わいせつ罪
まず、女性に対して強引にキスをする行為については、「強制わいせつ罪」(刑法第176条)の成否が問題となります。強制わいせつ罪とは、13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に成立する犯罪であり、法定刑は6カ月以上10年以下の懲役と定められています。
そして、「暴行を用いて」とは、暴行を手段とする場合に限らず、すれ違いざまに女性の胸を揉む行為のように、暴行自体がわいせつ行為である場合も含まれますので、強制わいせつ罪は、相手の同意を得ずにわいせつな行為をした場合には比較的容易に成立してしまう犯罪です。
そのため、鳥越氏が嫌がる女性に対して強引にキスをしたことが仮に事実であったとすれば、相手の同意を得ずにわいせつな行為をしたと考えられますので、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いといえます。