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次に、抵抗する女性にさらに迫る行為は、「強姦未遂罪」(刑法第177条、第179条)の成否が問題となります。強姦未遂罪とは、暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫しようとしたものの、姦淫には至らなかった場合に成立する犯罪であり、法定刑が3年以上の有期懲役(最長20年)と定められている極めて重い犯罪です。もっとも、強姦未遂罪における「暴行」とは、相手の反抗を抑圧するに至る程度のものを指しますので、少し強引に関係を迫ったというような場合にまで成立してしまう犯罪ではありません。
そのため、鳥越氏が抵抗する女性にさらに迫ったことが仮に事実であったとして、かつ、その態様が力ずくで相手女性を押さえつけるなどして性交渉に及ぼうとしたなど極めて悪質なものであった場合には、強姦未遂罪が成立する可能性もあります。
また、強引にキスをしたうえ、抵抗する女性にさらに迫るという行為は、女性の性的自由・性的自己決定権を故意に侵害するものですから、このような行為を仮に行ったのであれば、当然ながら女性に対する民事責任(不法行為に基づく損害賠償責任)も負うことにもなるでしょう。
消滅時効が成立
もっとも、強制わいせつ罪の公訴時効は7年間であり、強姦未遂罪の公訴時効は10年間であるため、記事の内容が仮に事実であったとしても刑事責任についてはすでに公訴時効が成立しております。また、不法行為責任の消滅時効は3年ですから、民事責任についても消滅時効が成立しています。
したがって、記事が仮に事実であったとしても、今となっては鳥越氏の法的な責任を追及することはできません。
しかし、法的責任は消滅したとしても、過去の行いが人々の心と記憶から消えることはありません。そのため、記事が仮に事実であった場合には、鳥越氏は道義的・社会的な責任を今後も負い続けることになるのではないでしょうか。
(文=編集部、協力=山室裕幸/弁護士法人ALG&Associates弁護士)
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