どういう意図の企画だったのか、インターネット上では疑問の声が相次いでいる。17日放送のテレビ番組『とくダネ!』(フジテレビ系)で、『課題 日本で進まぬ臓器移植…待機は先進国最長』という特集を放送したことが話題になっている。
日本「移植まで3年1カ月」、中国「1~2カ月」
同コーナーでは、日本の臓器移植の課題を探るテーマで、「日本は移植希望者約1万4000人のうち、移植を受けられるのは約2%」「心臓移植の平均待機期間は約3年1カ月」と移植手術に時間がかかる日本の現状を紹介。一方で中国・武漢市の医師の移植事例を紹介し、「中国では(移植まで)平均1カ月~2カ月」などと報じた。なぜ日中で、ここまでスピードに差が出るのかについては明確な説明はなかった。
中国国内では、以前から「違法な臓器売買が横行しているのではないか」との疑惑が尽きない。当サイトでも昨年7月22日、記事『中国、人民を殺害し臓器収奪&移植ビジネスの疑惑…病院地下に4千人仮死状態との証言』で指摘している。
「そんなに脳死で亡くなる方がいるのか?」
Twitter上では今回の放送に関して、以下のように疑問の声が相次いでいる。
「日本の平均待機期間は3年1ヶ月に対し中国は1~2ヶ月!?これ、なんかありますよね……となるはずですよね、普通。」(原文ママ、以下同)
「あながちフィクションとは思えない 闇の子供たち 思い出す。国際人権団体のセミナーで 今や人身売買(性的搾取、奴隷、臓器取りだし用)がマフィアの最高の資金源と世界中に張り巡らされたルートマップに恐怖してからもう10年以上経ちます。現在はもっと悪くさらに悪くなっていると簡単に予測できる」
「そんなに脳死でなくなる方が多いわけ無いじゃない 生体肝移植できる臓器だって限られてるし、提供する人にも影響があるわけだし。輸血とはわけが違う」
「日本は死者の尊厳を重視する」
一般社団法人日本臓器移植ネットワークの「移植施設」に指定されている大学病院の医師は次のように話す。
「移植手術の技術に関して、日本と他国との間に差はありません。確かに、米国では年間約1万人が死後に臓器提供し、2万件以上の臓器移植が行われています。日本では1997年から2018年12月までの約21年間で行われた脳死後に心停止した死後の移植件数は約5200件。確かに欧米と比べて少ないのは確かです。これは各国の法律で提供できる条件が違うからです。
臓器移植法は改正されましたが、改正臓器移植法施行でも『人の死』とされるのは『脳死後に臓器を提供する場合』に限定しています。臓器移植に関するガイドラインも非常に厳しいものです。
これまでも臓器移植に関連する各種ガイドラインの改訂や、臓器移植ネットワークが生前の臓器提供の意志表示に関する啓発活動を行い、少しずつ改善しつつあります。一人でも多くの助かる命を救うのは医師の大切な使命です。一方で、臓器を提供される方の尊厳や遺族の方のお気持ちもないがしろにはできません。日本国内の多くの人にこの問題を真剣に考えてもらいたいです」
番組は欧米などとの制度の比較ではなく、さまざまな懸念がある中国の事例と比較したのだろうか。人の生と死を扱うテーマだからこそ、丁寧な番組づくりが必要だったのではないか。