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自民党「成長戦略・未来像」が「中高生の作文みたい」「ブラック小説」とネット上で話題に

文=編集部
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自民党公式ホームページより

 新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛や営業自粛で、日本経済は深刻なダメージを受けた。政府・与党がどう経済を立て直すのかに国民の注目が集まっている。そんななか、自民党政務調査会は25日、「ポストコロナの経済社会に向けた成長戦略」と題する方針を発表した。政府与党としての基本方針ともいうべきものだったのだが、これに記載されている「一つの未来像」について「中高生の作文みたい」などとインターネット上から指摘が上がっている。いったい、どんな内容だったのだろうか。

 今回公表された「成長戦略」では、ICTの活用やデジタル化を今以上に推進した上で、適切な集中と分散を行い、地域分散社会や持続可能な経済や環境をつくり、東京の金融センター化を推進したり、科学技術の集積を一層進めたりすることが掲げられている。

 なお戦略を進める視点として、「国民目線」「格差、社会分断に対する目配り」「企業の環境変化に対する支援」「厳しい国際環境への対応」に重きを置くのだという。その上で、実現すべき未来像を以下のように表現している。

『ポストコロナの経済社会に向けた成長戦略』一つの未来像

(以下、引用)

「父さん、昔は、通勤ラッシュがあって大変だったんだってね?」、 来年大学を卒業する息子が突然開いてきた。

 「ああ、満員電車に1時間半も揺られて会社に通ってた、ぞっとする」。

 いつからだろう、遠い昔のことになったのは。今では、テレワーク中心に週数回会社に顔を出す、フレックスタイムだ。 お陰様で、家族との時間、大好きなソフトボールを楽しむ時間も持てている。子どもたちも、 地域の温かな支え合いの中で育ち、地域の伝統文化も吸収しながら伸び伸び育ってきた。

「ところで、就職活動は順調か」。「俺、地元で仲間達と高齢者向けレジャーサービスのNGO立ち上げようと思ってる」息子に笑われてしまった。

 息子の友達も、フリーランスとして働いたり、スタートアップに挑んだり、自らの意思で多様な選択をしているようだ。 隣の子は何と大学在学中に起業に成功している。

  GIGAスクール構想の実現で、全国どこでもSTEAM教育に資する良質な情報にアクセスできるようになり、個別最適化した学びの中で課題解決力と創造力ある人材が増えているのだろう。画一教育の俺の時代とは違う、正直羨ましい。

(中略)

 そして、自分の時代と明らかに違うのは、地元の企業への就職が増えていること。かつてここには、世界有数の自動車メーカーの工場があったが、海外移転してしまって、空き地が寒々と広がっていた。

 ところが、気がついたら、様々な業種の企業が地元回帰してきている。企業も、効率化は当然だが、それと同時に、サプライチェーンの弾力化やジャスト·インケースの供給源の多角化·多元化を図ってきた結果だ。やっぱり街に産業、仕事があるというのは素晴らしい。しかも、その仕事がリアルタイムで世界と繋がっているのだから、 エネルギッシュだ。

 その世界だが、 各国の自然災害発生情報がネットに犯濫している。自由、人権を求める人々のデモも頻発している。でも、この地域は、自治体、地域の組織が連携した統合型の防災の仕組みが充実しているし、もちろん、日本は、自由、民主主義、人権がしっかり守られている国、個人情報も自分のもの。日本人でよかったと思う。

 その日本は、「分断から協調へ」、環境問題やSDGS推進などの地球規模の課題で世界をリードすべきだし、国益を守るための経済安全保障の充実が必要だ。政治家には我が子達の笑顔が続くように、大局観をもって頑張ってほしい。そんなことを考えながらテレビを見ていたら、おっ国会中継。相変わらず立ったり座ったり、「大局観もって頑張る前に、国会のデジタル化進めた方がいいよな!!」とがっかりしながらチャンネルを変えたところに、「おばあちゃんからメール。今から来るって」と娘が教えてくれた。母は102歳の現役。現在も一人暮らし、買物は「ネット+小型自動配送ロボット」 で完結、 家事もサービス型ロボット。

 他方で、ここには、 素晴らしい医療·介護のネットワークとともに郵便局、 農協、社協、商工会、地域の見守り、サポートが充実している。そして、今日も、無人·自動の移動手段を自由自在に活用して、我が家に孫の顔を見にくるそうだ。病歴·受診歴薬の履歴、母の医療データは、マイナンバーのもとでしっかりと蓄積されている、いざという時にも迅速に対応できることが何よりも有り難い。 やっぱり令和の時代は圧倒的に便利で安心だ。

「いつから?」そうあのコロナとの戦いが転機だ。

「えっ、まじ、人類が火星に到達した!よし来年は家族で宇宙旅行しよう」

(引用終わり)

「中高生の作文みたい」

 Twitter上では、このショートショートのような夢物語に対し、以下のような反応が寄せられている。

「星新一的なオチが最後に欲しい、そしたら短編ブラック小説として完璧にキマる」(原文ママ、以下同)

「ちょっと目端のきく中高生の作文みたい」

「悪文の典型例として教材に使えそう」

「なるほどわからん (さっぱりわからん)」

 たしかに、中学校などでよく課題作文として書かされる「私の考える20年後の世界」を彷彿とさせる内容だ。平易にビジョンを伝えようという意図は感じるが、生活感あふれる設定と文脈に、多くの政治・経済用語を挿入しすぎていて伝わりにくくなっている。またどうして箇条書きではなく、唐突に独白形式にしてしまったのだろう。なぜこのような文章にしたのか自民党関係者に聞いたみたところ、次のように話した。

「え、誰がどう考えても完璧で素晴らしい未来じゃないですか。これでわからないというのなら、政務調査会担当者に次からイラストや漫画も挿入するように伝えておきます」

 国の特別定額給付金や持続化給付金の支払いが未だになく、困窮する人は日に日に増えている。一方で30日、国会議員に数百万円のボーナスが支給された。夢物語のディティールにこだわる政治と、国民の窮状の乖離は深まるばかりだ。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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