第3次安倍第3次改造内閣が本格始動した。
8月4日、安倍晋三首相は記者団に対して「今日から新たなスタートだ。謙虚に丁寧に一つひとつ結果を出していきたい」と抱負を語った。3日に発表された内閣改造は、留任5人、初入閣6人、閣僚経験者13人という内容となった。
麻生太郎財務大臣や菅義偉官房長官は留任の一方で、野田聖子総務大臣や河野太郎外務大臣の誕生が注目を浴びている。今回の内閣改造について、経済評論家の渡邉哲也氏は以下のように語る。
「安倍首相にとっては、敵を取り込むと同時に党内一致と口封じを兼ねた内閣改造であったといえる。全体的に見れば、大臣経験者を中心としたバランスのいい人事であり、各派閥を意識したものになっている。特段の目玉やサプライズはなかったが、安定性が高く、トラブル発生を避ける意味では一定の効果のある人事ではないだろうか。
強いて言えば、河野氏に外務大臣という要職をこなせるかどうかが気になるが、現在の外交はG20(20カ国・地域)首脳会議などに代表されるように、金融面を統括する財務大臣がこなしている面が強い。河野氏は麻生派のため、『麻生財務相とセット』と考えれば合点が行く配置だ。
また、自民党内の人事に関しては、副総裁に高村正彦氏(麻生派)、幹事長に二階俊博氏(二階派)、総務会長に竹下亘氏(額賀派)、政調会長に岸田文雄氏(岸田派)と、各派閥の領袖クラスを並べることで“にらみ”を利かせたものになっている」(渡邉氏)
岸田氏がリードする、ポスト安倍レースのゆくえ
今回の内閣改造で注目されたのが、“ポスト安倍レース”のゆくえだ。最有力とされる岸田氏は閣外に出たが、これは安倍首相が岸田氏の要望をのんだからだともいわれている。
「岸田氏は『安倍首相を支える』としながらも、一度閣外に出て次の首相の座を狙うという構図だ。現在、自民党の派閥は細田派97名、麻生派59名、額賀派52名、岸田派43名、二階派43名、石破派19名、石原派14名、谷垣派10名、無派閥72名となっている。
細田派、麻生派、岸田派が手を組めば、その時点でほかの派閥は太刀打ちできない。すでに実質的に組んでいるため、他派閥は力が及ばないのが実情で、この構図はポスト安倍レースを左右するものになるだろう。
ダークホースで菅氏という可能性もあるが、官房長官に留任したことで岸田氏より一歩出遅れたといえる。基本的に、総裁選挙に出るためには派閥の領袖を務めたという実績が必要だが、官房長官を務めている限りは自派閥の立ち上げは難しい。派閥を引き継ぐという方法もあるが、菅氏は無派閥のため、派閥内のほかの議員との兼ね合いなどの問題も出てくるので難しいだろう」(同)
野党時代に交わされた安倍・麻生の“密約”とは
今後、安倍政権のテーマとしてますます注目されるのが、憲法改正のゆくえだ。安倍首相は内閣改造後に「スケジュールありきではない」と慎重な姿勢を見せており、一時は加速した憲法改正の動きがトーンダウンしたかに見える。