国土交通省は「観光先進国」実現に向け、観光地周辺の渋滞を解消するためにICT(情報技術)やAI(人工知能)を活用した渋滞対策の実験を開始する。
8月にエリア観光渋滞対策の実験を行う「観光交通イノベーション」地域の公募を行い、神奈川県鎌倉市、京都府京都市、長野県軽井沢町、兵庫県神戸市から応募があった。これを受け、有識者らによる「地域道路経済戦略研究会」の意見も踏まえ、実験実施地域として鎌倉市と京都市を、実験計画などの具体的な検討を行う地域として軽井沢町と神戸市を選定した。
この秋から、鎌倉市と京都市で最先端の技術を駆使した観光渋滞対策の実験が始まる。
本格的な運用は数年先か
実証実験では、自動料金収集システム(ETC 2.0)や高度化光ビーコン、AIカメラなどで人や車の動きを収集する。集めたデータをAIで解析し、混雑する場所や時間帯などの予測のほか、人、車の流れの最適化を行う。
国交省は、地域の警察や観光部局とも連携して、エリアプライシング(交通渋滞や大気汚染などの交通問題改善を目的にした、一定の区域内を走行する自動車への課金)の導入も視野に入れている。
まずは、この秋から鎌倉市と京都市で実証実験を開始し、来年度以降に軽井沢町と神戸市でも同様の実験を実施する。2020年の“インバウンド4000万人時代”を見据えた観光地の渋滞、大混雑解消のウルトラCというわけだ。
これだけの最先端技術を活用するとなれば、それなりの予算が必要になる。いったい実験段階でどのくらいかかるのか、国交省に問い合わせてみたが、「まだ具体的なことが決まっていない」として、はっきりした回答は得られなかった。また、費用負担については「機器については国、設置や調整は自治体になると思う」という。実験の大まかな方向性は見えてきたが、全体像や具体的な手順はこれからといったところのようだ。ちなみに、この渋滞解消システムの実用化については「数年後」とのことだった。