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川淵・選手村村長「五輪返上すれば世界から蔑視」「日本全体が病」スポンサー企業から反発

文=編集部
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川淵・選手村村長「五輪返上すれば世界から蔑視」「日本全体が病」スポンサー企業から反発の画像1
都庁前で行われた東京五輪反対デモ(撮影=編集部)

「新型コロナウイルスで皆苦しんでいる。犠牲が出るのがわかっているのにやらせてはいけない」

「オリンピックやめろ」

「これ、五輪できるでしょ。こんな密になっちゃって、五輪はできるって証明していますよ!」

「マスクを外しましょう!」

 23日午後6時、東京都庁(新宿区)の玄関前には東京オリンピック(五輪)をめぐる混沌を象徴するような光景が広がっていた。都庁前ではこの日、6つの市民団体が主催した東京五輪開催中止を求めるデモが行われた。

 頭上に掲げられた死神をモチーフにした人形が見下ろす中、約200人のデモ参加者が冒頭のように「NO! Olympic(ノーオリンピック)」を訴えると、沿道の向かい側の街宣車から「コロナはただの風邪」との主張で物議を醸している国民主権党党首の平塚正幸氏が「これなら(五輪の観客数制限は)上限50%じゃなく、フルスタジアムで開催できますね」と応じる。

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反五輪デモの会場に登場した「コロナはただの風邪」で知られる平塚正幸氏(撮影=編集部)

 その模様を取材しようと日本国内の大手マスコミ関係者はもちろん、CNNや韓国メディアなど外国の報道機関が大挙して押し寄せていた。そうした光景を見ていたある東京都職員は「今日は選手村の川淵(三郎)村長のインタビュー記事の騒動もあって、インターネット上はまた盛り上がっていましたよね。カオスで頭がおかしくなりそうです」と力なく語った。

川淵選手村村長「日本人は意気地がないと世界から蔑視される」

 前出の東京都職員が指摘するように、この日に現出した五輪をめぐる混沌はデモだけではなかった。スポニチアネックス(スポーツニッポン新聞社)が同日公開した独自記事『五輪選手村・川淵村長単独インタビュー 開催消極的な世論に疑問、成功させて“努力の証”に』が炎上したのだ。23日午後には「川淵村長」がTwitterのトレンドに入った。

 同記事は東京五輪選手村村長の川淵三郎氏(84)に単独インタビューしたものだ。記事上、川淵村長は次のように語った。一部引用する。

「(五輪を)じゃあ返上しますという時、どういう理由にするのか。感染状況がひどくて開催できないといっても、欧州各国と比べて死亡率などが低い日本がなぜ返上するのかと言われるだけ。それでも返上すれば、日本人は意気地がない、世界的なイベントを成功させる気概がないのかと、世界から蔑視(べっし)される可能性があることを誰一人語っていない。日本は臆病風に吹かれて、国を挙げた努力もしなかったという汚名が何十年、百年以上残る。子孫のプライドをおとしめるようなことを今の人たちがやっていいのか」(原文ママ、以下同)

「マスコミの誘導だよね。全てと言ってもいいぐらい、ワイドショーの司会が反対の立場でモノを言う。これはダメだ、ばかりで、こうすれば良くなるという議論をほとんど聞かない。日本全体が病んでいるとしか思えない。昔、全部の新聞社が戦争をやろうとあおって、国民も賛成した風潮とまるで変わらない」

 そして、川淵村長の談話をまとめた同社の五輪統括キャップは次のように記事を締めくくった。

「『コロナで日本人の感受性はおかしくなってしまった』。これで世界の中で生き残れるのか、国の将来を憂えている」

 この記事に対し、Twitter上では以下のようなツッコミが殺到した。

「いやー狂ったインタビューだなあ 歴史に残す価値があると思うマジで」

「以前『コロナに打ち勝った証としての五輪』と言っていたけど、『世論に打ち勝った証の五輪』をやる気らしい」

「『欧州各国と比べて死亡率などが低い日本がなぜ返上するのか』『日本人は意気地がない、世界的なイベントを成功させる気概がないのかと、世界から蔑視(べっし)される可能性』『子孫のプライドをおとしめる』オリパラ返上できないのはこんな理由なのか。こりゃ別の地平だわ」

スポンサー関係者「国民に真摯に協力を求めてほしい」

 開会式まで残り1カ月を切り、文字通り開会に向けて作業に奔走する「東京2020オリンピックオフィシャルパートナー」の旅行代理店関係者は一連の騒動に対して次のように話す。

「私たちは各方面の取引先に毎日、毎日、頭を下げて協力を求めています。どれほど難しいことであっても絶対に感染者を出さない、万が一にも参加するアスリートやお客さんにコロナで死者をだしてはいけない。文字通り命がけで感染対策の徹底に向けて奔走しています。

 五輪開催がきっかけになって日本に感染第5波が発生すれば、ほぼ間違いなく我々の責任は問われます。一生、『あの失敗した五輪の関係者』と言われるでしょう。組織委(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)の現場の方々も、同じくらいの悲壮感を持って働いています。

『コロナ禍が原因なのに、なんで自分だけこんな目に遭わなくてはいけないのか』と少なからず思いますが、誰だって生まれてくる時代や国を選べるわけではありません。“誰か”や“なにか”のせいにしても仕方がない。きっちり目の前の仕事をして、感染予防で結果を出すしかないと思っています。

 責任のある方や影響力のある皆さんに心からお願いしたいです。五輪をめぐる賛成、反対の両極端な意見に対して反射的に持論や反論をするのではなく、また『IOC(国際オリンピック委員会)が決めたことだからやるのはしょうがない』と言い切ってしまうのでもなく、『いろいろなご意見やご不安があるとは思いますが、万が一の事態を防ぐために懸命に努力します。だから、どうか協力していただけませんでしょうか』と頭を下げていただくことはできないものなのでしょうか。少なくとも我々はそうやって働いているのですが」

 五輪を開催するのにあたって、現状最大のミッションは国民の理解を求めることではないだろうか。開会式まで1カ月弱。日本政府と組織委上層部がどれだけ真摯な姿勢を示せるかどうかがカギだろう。

BusinessJournal編集部

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