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旭川中学生いじめ自殺、教頭が母親に「頭おかしい」…NHK特集、凄惨な内容に衝撃

文=編集部
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NHK『クローズアップ現代』のHPより

 9日放送のNHK番組『クローズアップ現代』は特集『旭川女子中学生凍死事件~それでも「いじめはない」というのか~』を放送し、今年2月に北海道・旭川市の女子中学生、廣瀬爽彩さんが、いじめを苦に命を絶った事件を追った。

 この事件をめぐっては、学校と旭川市教育委員会の杜撰な対応が問題視されてきた。
 
 爽彩さんは2年前の2019年、転校前に通っていた中学校で上級生グループから不適切な動画の撮影を強要され、その画像をSNSで拡散されるといういじめを受け、自殺未遂を起こしていた。母親が今年8月に公開した手記によれば、爽彩さんがいじめを受けている様子を感じた母親は、複数回にわたり学校の担任に相談したが、

「いじめるような子たちではありません」

「思春期ですからよくあること」

「いじめなんてわけがない」

と押し切られたという。

 さらに母親は学校側に「子どもたちに囲まれ、ウッペツ川に飛び込んだ事件の後、爽彩の携帯電話に、いじめを受けていることを示す履歴があることを学校に知らせ」(手記より)たものの、学校の教頭から次のような言葉を浴びせられたという。

「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください」

 ちなみに月刊誌「メディアあさひかわ」(月刊メディアあさひかわ)は、19年9月発売号でこの問題を報道。当時、事態を把握した北海道警察や旭川市教育委員会は、学校側に対して適切な対応を求めたものの、学校側は「いじめはなかった。男子生徒らの悪ふざけ」(同誌より)などとして、当時の校長を中心として、おざなりな対応に終始していたこともわかっている。

 事態が大きく動いたのは、今年4月にニュースサイト「文春オンライン」が詳細を報じたことだった。自殺未遂が起きた当時の中学校長は「文春」の取材に対し、「(いじめに)至ってないって言ってるじゃないですか」などとコメントしたが、事件の全容が全国的に知られることとなり、ついに旭川市の西川将人市長(当時)はようやく、市教委に調査を指示した。

 しかし、第三者委員会の設置から3カ月が経過した8月には、生徒や関係者への聞き取り調査が行われていないことが判明するなど、調査は進んでいない。

 今月3日には遺族側に開示された道教委の文書で、19年に爽彩さんがいじめを苦に自殺未遂を起こした後、川に入ったまま学校に電話をかけ、教員に「死にたい」などと訴えていたことも判明。道教委は旭川市教委に対し、いじめとして対応するよう指導したものの、市教委は「いじめはない」と判断していたことも明らかになった。

 9日放送の『クロ現』では、爽彩さんの母親が初めてテレビのインタビュー取材に応じた。母親は、19年に爽彩さんが加害生徒たちに囲まれて川で自殺未遂を起こした際、爽彩さんの携帯電話の中を確認して、問題のある写真や動画を撮影させられていた事実を把握し、それを学校側に告げたが、教頭から

「これは単なる悪ふざけ。いたずらの延長だったんだから。もうこれ以上、何を望んでいるですか」

と繰り返し言われたという。

 そこで母親が「じゃあ、娘の記憶消してください」と答えたところ、教頭は

「頭おかしくなっちゃったんですか? 病院に行ったほうがいいですよ」

と発言。続けて母親が「学校に通うというのは、とても怖くてできないと思う」と言うと、教頭は

「僕なら怖くないですよ。僕は男性なので、その気持ちはわかりません」

と言い放ったという。

 番組内では、爽彩さんがSNSのライブ動画配信で

「いじめを受けてたんですけど、その内容が結構きつくて。自分のほうで処理できないっていう気持ちになってしまって」

などと語っていた肉声も公開。さらに爽彩さんがSNS上に投稿していた、加害生徒たちから屋外で不適切な行為や写真撮影を強要されていた事実を訴える書き込みや、「私が悪いだけだから」「気持ち悪いなあ私」といった悲痛な叫びも紹介されていた。

 爽彩さんの自殺未遂の際に母親に対応した前出の教頭は、現在もその職にあるとのことだが、『クロ現』が伝えた、あまりに凄惨ないじめの内容や、爽彩さんの苦しみ、そして学校の対応を受けて、Twitter上では次のような声が多数あがる事態となっている。

<多くの人が番組を観つつ怒っていたと思う。これがいじめでなかったら何がいじめだというのか。教頭も校長も教育委員会も常識がないのか>

<ほんとにホントにどうしようもなく本当に涙と怒りが込み上げてくる最悪極まる旭川教育界における酷い事件>

<子を持つ親としては聞くに堪えない内容>

<旭川のいじめの件を見て、SNSは小中学生が使いこなせるシロモノじゃないと感じる。電子空間上のアウトプットが半永久的に保存される事に対しての畏怖と現実味を持てない人間は使うべきではないのでは>

<こんな学校と教育委員会の環境では、まともな教育は無理>

<学校のとんでもない対応は本当に腹立たしいです>

<加害者が悪いのは大前提として学校側も共犯レベル>

<途中でチャンネルを変えたくなる程胸が苦しくなった。できれば学校がなぜいじめを認めないのかと責めるだけではなく、自分の娘が被害者になった時どうすれば最悪の事態を未然に防げるのかもっと具体的な方策を示して欲しいと思った>

<悲しい。苦しい。辛い。憎い>

 爽彩さんの母親はインタビューで、

「本当にいじめって普通に認めて、先生方も本当にちゃんと調べて、いじめっていうのをちゃんと対処してほしい」

と話していたが、40代の公立中学校教師は8月19日付当サイト記事で、次のように実情を語っていた。

「自分が担任を受け持つクラスでいじめの疑いを感じた際、物怖じせず徹底的に当事者の子どもたちと向き合うのか、逆にできるだけ“気づかないふり”をするのかというのは、教師によってまったくまちまち。学校単位でいえば、トップである校長や教頭によって全然対応が違ってくるのが実情です。

 学校の現場では、新卒の新人教師がなんの準備もマニュアルもなく、いきなり担任を任されて現場に放り込まれる。教師たちはそのなかで試行錯誤しながらノウハウを身につけていくわけなので、結果としていじめへの対応方法や考え方も教師によってバラバラになる。“そんなのは、教師の仕事じゃない”“すぐ警察に通報すべき”と考える教師もいるくらい。加えて、今の学校教師は、朝のホームルームに始まり日中の授業、部活動の指導、生徒の生活指導や保護者対応、さらには内申書や教育委員会などへの報告書の作成など書類仕事も重なり、朝7時から夜10時過ぎまで働きづめになることも珍しくないほどの激務。部活動で休日がつぶれることだって多い。

 まったく言い訳にはなりませんが、そういう勤務環境のなかで、学校や教師が、できるだけいじめなどの面倒な問題を“なかったこと”にしようという方向に傾く面はあるでしょう。

 また、あくまで私見ですが、特に50代以上の教頭や校長などの管理クラス、いわゆる“古いタイプの先生”のなかには、“学校にいじめなどあってはならない”“あるはずがない”という固定観念に縛られ、いじめの存在を認めようとすらしない人が多いような気がします」

 第三者委員会のしっかりとした調査が待たれる。

(文=編集部)

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