25日、日本大学の大塚吉兵衛学長は、アメリカンフットボール部の選手が悪質な反則を犯した問題について都内で会見を開き、大学として正式に謝罪した。一方、内田正人前監督や井上奨前コーチら指導層から選手に対して反則行為の指示があったかどうかについては、明言を避けた。また、学校法人としての日大経営トップである田中英壽理事長が会見に出席しなかったことについても批判が高まっている。
日大は学生数約7万人を擁する日本最大規模のマンモス校。文系、医学部を含めた理系、スポーツ科学部、芸術学部など幅広い学部を揃えており、OBの数も多い。今回の件で志願者は減少するのではないかという見方もあるが、教育ジャーナリストの小林哲夫氏はいう。
「独自性を発揮している芸術学部、専門性が高い医学部や理工学部などは安泰でしょう。しかし、経済学部、商学部、国際関係学部などの文系は他大学に志望者が流れる可能性があります。法学部や法科大学院も、“司法の日大”と呼ばれながら司法試験合格者実績が低調なため苦戦するかもしれません」(小林氏)
日大理工学部は建設系や電鉄系企業への就職に強く、JRへの就職者も多い。こうした業界では日大閥はまだ健全との見方が強い。
「大学受験する学生の親がどう考えるかが、来年の日大受験者数を大きく左右するでしょう」(小林氏)
日大の理事長ワンマン体質
そんななか、日大職員は頭を抱えているようだ。
「アメフト問題をめぐる日大上層部の対応は、明らかに失敗でした。一般企業同様に大学も厳しいガバナンスとコンプライアンスが求められていますが、両方とも日大には“ない”ことが白日の下に晒された。日大は伝統的に理事長のワンマン体制ですが、内部からは改革をしようという声は一向に上がってこない。日大にも良心的な教授はたくさんいますが、みな田中理事長や人事権を握る内田常務理事たちから左遷されることを恐れているからです。理事会は田中理事長を筆頭に従順な側近たちで固めており、誰も逆らえないのです。日大職員は給料も悪くないため、今はみな嵐が去るのを待っているという状況です」(日大職員)
元日大職員もこう証言する。
「とにかく上の考えを忖度して学内政治に勤しむ職員が多い。田中・内田コンビで人事権を完全に掌握しており、怖くて誰も何も言えない恐怖政治が蔓延している。実態は北朝鮮や横暴なオーナー社長の会社に近いといえば、雰囲気が伝わるでしょうか。まあ、私は脱北しましたけれどね」