来年10月1日から消費税率が現在の8%から10%に引き上げられる。政府は6月15日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)で、消費税率引き上げの影響による景気悪化を回避するため、さまざまな施策を打ち出した。果たして、消費増税による景気悪化を回避できるのか。
2014年4月の消費税率8%への引き上げでは、実質経済成長率が13年度は2.6%のプラスから、14年度には0.3%のマイナスとなった。増税前の駆け込み需要とその反動が要因と見られている。そこで骨太の方針では、駆け込み・反動減の平準化策として、「消費税率引上げに当たり、税率引上げの前後において、需要に応じて事業者のそれぞれの判断によって価格の設定が自由に行われることで、駆け込み需要・反動減が抑制されるよう、その方策について、具体的に検討する」と盛り込まれている。
これは、同方針のなかで指摘しているように、「欧州諸国では、税率引上げに当たり、どのようなタイミングでどのように価格を設定するかは、事業者がそれぞれ自由に判断している。このため、税率引上げの日に一律一斉に税込価格の引上げが行われることはなく、税率引上げ前後に大きな駆け込み需要・反動減も発生していない」という点を考慮したものだ。つまり、「簡単に言ってしまえば欧州各国の“パクリ”」(野党議員)だ。
確かに、前回増税(14年4月)前後の国内個人消費の動きを見ると、14年1-3月は前年同期比2.0%増だったが、同4-6月には同4.7%減と大きく落ち込んだ。これに対して、ドイツでは直前四半期の個人消費は同1.6%増、増税後は同2.0%減に落ち込んだが、その落ち込み幅は小さい。英国でも0.8%増から0.8%減と小幅な落ち込みにとどまっている。そして、両国ともその後は個人消費が回復しているのだ。
「政府・与党が飛びつくのもうなずける」(野党幹部議員)ものだが、果たして、それほどうまくいくものだろうか。
これまで日本では政府の号令の下、一斉に消費税率を引き上げるように指導され、「今さら事業者それぞれの自由裁量で引き上げてもよいと言われても、どのように対処していいものか、見当もつかない」(洋品店店主)というのが本音だろう。