国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
永田町には長いことかかわっていますが、「本当に危機管理がなっていないな」と思うことがしばしばあります。先日も、まさに前代未聞の事態が起きていたのですが、国会の関係者は誰も知りませんでした。
国会議事堂に「元暴力団員でイタリアのマフィア関係者」が堂々と入っていたのです。しかも、その様子を本人がフェイスブックに投稿(閲覧はお友だち限定)しており、外部の方からのご指摘で知るという恥ずかしい事態になってしまいました。まるで、「日本の国会はノーガード」と世界に宣伝しているようなものです。
その方は、マリオ・ルチアーノさん。イタリアのマフィアのボスとして有名なラッキー・ルチアーノの末裔として知られており、今年6月には著書『破界』(徳間書店)を上梓しています。ちなみに、同書のサブタイトルには「山口組系組員になったゴッドファーザー末裔の数奇な運命」と明記されています。
状況から考えて、ルチアーノさんは自民党の衆議院議員の案内を受けたようです。ちなみに、麻生太郎財務大臣は以前からマリオさんと親交があることで知られているため、「もしかしたら麻生事務所かも?」ともささやかれていますが、どの事務所であっても、元暴力団関係者と交際していいはずがありません。
今年の3月には、「フライデー」(講談社)が「麻生太郎財務相が『ゴッドファーザーの末裔と憧れのご対面』」という記事を掲載しており、マリオさんが経営するイタリアンレストランから出てくる麻生財務相の様子を伝えています。このお店には、政界から芸能界までいろいろな方が足を運んでいるそうです。
麻生財務相はいつもダンディで素敵なので、国会女子のファンも多かったのですが、これにはみんなドン引きでした。もちろん、今回の件が麻生財務相によるものと決まったわけではないですが、マリオさんを国会に案内できる人物は限られると思います。
杉田議員の炎上で「安倍3選」が微妙な空気に?
9月に行われる自民党総裁選挙は「安倍3選で決まり」と言われてきました。しかし、少しずつですが、その雰囲気も薄れてきている気がします。マリオさんの件以外にも、たくさんの問題があるからです。
その筆頭が、杉田水脈議員の「LGBTには生産性がない」発言です。「新潮45」(新潮社/2018年8月号)に掲載された、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」という主張です。
これには、稲田朋美議員など自民党内からも批判が出てしまい、自民党は8月1日に公式サイトに「LGBTに関するわが党の政策について」という異例の見解を掲載しました。そのなかで、「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するよう指導したところです」としていますが、さすがに国民の心が離れていくのがわかったのでしょう。
国会女子からも、「杉田議員は自分の発言が安倍首相夫妻の批判につながっていることに気づいているのかな?」という声が出ています。「あの夫婦にはお子さんがいないからね。そもそも杉田議員は比例当選なんだから、安倍さんに迷惑かけちゃダメだよね」などとも言われていますが、その通りだと思います。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。