「やくざの更生支援をする元やくざ」として知られる竹垣悟氏の初の著書『極道ぶっちゃけ話 「三つの山口組」と私』(イースト・プレス)が話題だ。
竹垣氏は、かつて四代目山口組・竹中正久組長、中野会・中野太郎会長、初代古川組・古川雅章という、山口組でも名だたる親分衆に仕えた後に引退、現在はやくざの更生を支援するNPO法人「五仁會」の代表を務める。竹垣氏に、本書を執筆した経緯や現在の心境を聞いた。
北野武も驚いた、横山やすしとの“兄弟盃”秘話
――本書は2017年12月17日の発売直後に増刷が決定したそうで、まずはおめでとうございます。
竹垣悟氏(以下、竹垣) ありがとうございます。この本は以前からブログに綴ってきた内容を1冊にまとめたものですが、おかげさまでご好評をいただいています。これまでの人生で、本当にたくさんの俠(おとこ)たちに出会い、いろいろな経験をしてきたので、それらを本にすることは私の夢のひとつでもありました。
――登場人物はほぼ実名で、本当に“ぶっちゃけ”たお話が満載ですね。山口組の歴代の親分衆のエピソードはもちろん、亡くなった横山やすしさんとの兄弟盃の裏話なども、興味深く読みました。
竹垣 やすしさんとの盃については、前に「フライデー」(講談社)に書かれたことがあるので、ご存じの方も多いかもしれませんね。『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)に出演させていただいたご縁で北野武さんにも本をお送りしたんですが、やすしさんとの盃の経緯は初めて知ったそうで、とても驚いていらっしゃいました。
――武さんはやすしさんを敬愛していたことが知られています。
竹垣 葬儀にもいらしたらしいですね。やすしさんのような芸人も、もう出ないでしょう。こういう貴重な体験も書いておきたかったのです。
本音はやめたい?哀れなやくざの末路
――竹垣さんは、以前から「やくざの更生を支援する元やくざ」として、『TVタックル』や『サンデー・ジャポン』(TBS系)などのメディアに登場されています。
竹垣 今はやくざがやくざらしく生きられる時代ではなくなりましたから、もうやめたらええんですよ。私は「やめたい」と思っているやくざを支援したいので、今の活動を続けています。
最近では、ほとんどのやくざが食っていくために任俠道を忘れて“暴力団員”に成り下がっています。覚醒剤を売ったりオレオレ詐欺をしたりしてまで会費(いわゆる「上納金」)を払うなんて、ホンマに情けない。
また、幹部たちも逮捕を怖れて安易に報復(かえし)をしないように若い者たちに厳命していると聞いています。やくざの基本はケンカですから、それはおかしいと思いますよ。
カネ集めに汲々として売られたケンカすら買えないのであれば、それはもうやくざではありません。だから、本音では「もうやめたい」と思っているやくざも実は多いんです。でも、簡単にはやめられない事情もあります。やめたところで生活できませんしね。元やくざを雇ってくれるところは、まずないでしょう。
そんな者たちの力になりたくて、私はNPO法人を設立したのです。おかげさまで、たくさんの方からご賛同をいただいています。
『極道ぶっちゃけ話 「三つの山口組」と私』 元山口組系組長、現NPO法人代表が語る、テレビでは絶対に言えない「あの事件」の真相。 「これぞ本物の侠(オトコ)。わし以上の“突破者”の声を聞け!」(宮崎学)