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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

【韓国レーダー照射】北朝鮮の瀬取り支援疑惑浮上…韓国、日本が金融制裁なら通貨危機に発展も

文=渡邉哲也/経済評論家

韓国のレーダー照射は国際社会への宣戦布告

 ちなみに、韓国に対しては日本単独でも金融制裁を科すことは可能である。たとえば、韓国産業銀行、中小企業銀行、韓国輸出入銀行などの国策銀行は輸出に伴う信用状の発行などが日本の銀行の信用枠で成立している状態だ。その信用枠を撤廃すれば、韓国は外貨調達や輸出に大きな制限が課せられ、経済の急落を招くことになる。また、金融庁が韓国関連の債券や保証に対するリスク評価を引き上げるだけで、韓国の債券やウォンが暴落する可能性もあるのだ。

 すでに米連邦準備理事会(FRB)は、北朝鮮関連の取引について韓国系銀行のニューヨーク支店に警告を発している。それにより、韓国系銀行のコルレス(国際決済口座)によるドル取引は凍結状態で、アメリカや日本の銀行を仲介するかたちで国際送金を行っている。いわば、韓国は日米に生殺与奪を握られている状態なのだ。

 また、たとえば文大統領が「SDNリスト」(アメリカの経済制裁の対象となる人や国、法人のリスト)入りすれば、韓国内の文大統領の銀行口座などは凍結され、それに応じなければ韓国の銀行はドル決済ができなくなって経営危機に陥ることになる。これは大統領令で行使できるため議会の承認は不要で、ドナルド・トランプ大統領のさじ加減ひとつだ。

 いずれにせよ、瀬取りの監視は日本だけで行っているのではなく、国連安保理決議に基づく共同作戦であるため、韓国のレーダー照射は国際社会への宣戦布告といっても過言ではない。仮に日本が同じことをすれば、防衛大臣と統合幕僚長の更迭は確実で、首相の責任問題にまで発展するだろう。果たして、韓国はどのように落とし前をつけるつもりなのだろうか。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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