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日ロ関係、空白の10年
4島一括返還を主張する人の論拠はこうだ。
45年8月の終戦間際、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄して宣戦布告、日本がポツダム宣言を受諾した後もソ連軍は侵攻を続けて北方領土を不法に占拠した――ということだ。
しかし、時系列でいえば、ソ連が北方領土へ兵を進めたのは米戦艦ミズーリ号の甲板上で日本が降伏文書にサインした9月2日以前の話。終戦間際のどさくさに紛れて掠め取ったという側面はあるものの、日本とソ連は戦争状態にあったのだから、北方領土の占領を不法というには無理がある。また、北方4島を「日本固有の領土」と主張するのは、第二次大戦(太平洋戦争)の結果を受け入れていないことになる。
そして2001年、森喜朗政権下でも北方領土返還の可能性が出てきたが、それが頓挫したのは一部の外務官僚の策動だという話もある。
「私は、森首相時代の01年3月のイルクーツクでの森・プーチン会談、あのときが一番、島が近づいたと思っている。しかし、01年4月に小泉政権が誕生し、逆に島は離れていってしまった。小泉さんはアメリカべったりだったし、日ロ関係について過去の経緯も知らなかった。その結果、空白の日ロ関係10年になってしまった。領土問題、とりわけ国家主権に関わる問題は、トップリーダー・最高首脳の判断でしか解決できない。戦争で失った領土を、血を流さずに取り戻したことなど歴史的には一度もない。日本はそのくらい難しいことをやろうとしている」(鈴木代表)
プーチン大統領は交渉相手として、かなり手ごわい。一筋縄ではいかない相手だ。2島とはいえ、果たしてすんなり返してくれるかどうかわからない。そういう意味では、この問題に安倍首相の政治生命がかかっているといっても過言ではない。
(文=横山渉/ジャーナリスト)
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