韓国海軍によるレーダー照射問題をめぐり、日韓関係が悪化の一途をたどっている。日本は事件をめぐる協議継続は困難と判断し、21日に最終見解を公表。“協議の打ち切り”という幕引きはさらなる波紋を広げそうだ。
事件が発生したのは先月20日で、韓国海軍駆逐艦が日本の海上自衛隊P-1哨戒機に向けて火器管制レーダーを照射したもの。不測の事態を招きかねない「極めて危険な行為」として韓国側に抗議し、防衛省が事案映像の公表に踏み切っている。
ところが韓国側の説明は二転三転を繰り返し、今月3日には韓国国防部が海自機の「低空脅威飛行」に対する謝罪を要求。翌日には日本側への反論動画を公表したが、ネット上では動画サムネイルの海自機が加工されていると指摘が相次ぐことに。防衛省は同日、「韓国国防部が動画等を公表していますが、その内容には、我々の立場とは異なる主張がみられます」との見解を示した。
14日には2回目となる日韓実務者協議を開催。韓国側がデータ提供を拒否したため進展はみられず、防衛省は21日に哨戒機が探知した「音」を公開している。同時に最終見解を公表し、そのなかで「協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断」と明記。今後の対応について「日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力していく考え」と結んでいる。
こうした状況のなかで浮上しているのが、「韓国からのビザなし渡航制限」案。11日に開かれた自民党・外交部会・外交調査会の合同会議では、韓国への制裁を求める声が続出した。しかし渡航制限案に対しては懐疑的な声もあり、国際政治学者の三浦瑠麗氏はツイッターで「日本が自身の首を絞めるもいい所の意見」と断言。続けて「韓国国内に知日、親日を育てるには経済的利益と観光、留学しかないのですから、日本を好きな人を締め出して何の得があるのでしょうか。政府と国民は分けましょう」と考えを示した。
ネット上では「制裁発動するべきだし、それだけ今回は深刻な問題だということ」「今まで生ぬるい外交してきたツケ。渡航制限は良い方法だと思う」「もっと強い制裁でもいいのでは? 最終的に国交断絶になってもやむを得ない」と支持派の声が目立つ。また、三浦氏の意見に対しては、「もっと国益を考えた発言をしてほしい」「そういう甘い考えで対応してきたからレーダー照射されるような事態になったのでは?」と批判が相次いでいる。
いずれにしても、今回のレーダー照射事件の真相が解明されない限り、日韓関係の好転は遠のくばかりかもしれない。
(文=編集部)