翻って、今回の事業者による発言や回答書は、野党合同ヒアリングのメンバーが、ようやく突き止めた重大な真相・事実である。藤原工業の発言や回答書について、報道した多くのメディアは、「事業者がごみの写真の『引用を誤った』」「写真の使い回しを認める」と報道した。
実際、写真2は2016年4月5日に撮影された試掘写真であるが、その中に示されるNo7の写真で見るように、掘削穴の中央下辺部の青い線で囲まれた部分を拡大したのが、No11の写真であることがわかる。地下水のくみ上げホースの状態を見ても、同じ掘削穴の写真の一部を拡大して2つの掘削穴のように見せていたことが分かる。このようにして場所も深さも異なる穴として説明し、手の込んだ偽装を行っていた。
工事事業者の回答書の内容
説明を行った藤原工業は、森友学園が校舎建設を委託した事業者である。この藤原工業は、1月17日の野党合同ヒアリングの後すぐに、国交省に回答書を上げ、国交省はそれを2月4日に参議院予算員会懇談会宛に報告した。その回答書の中でも「同一の試掘穴である」ことは認め、その点の変更はない。その一方で、藤原工業は17日の「私の発言の一部のみ取り上げ、『あたかも当社の報告が全部いい加減であった』かの報道がなされ、当社は当惑している」と回答書に記載している。
では、「同一の試掘穴」であるのに複数の試掘穴と偽った点については、どのように回答しているか。藤原工業は以下のように説明している。
「『すぐ出してほしい』と、とても急な依頼がありました。ところが、この時に撮影していた社員が、代休中のため、別の写真を選定し、一部誤って同一の写真を使用してしまいました」
「これは試掘写真として前に掘った時(No1~No20)の写真が混在しており、資料管理が適切でなかったため、起きた単純なミスです」
理由にならない理由を述べ、「資料管理が適切でなかったため、単純なミスだ」と結論付けている。「いい加減にやった」といわれても仕方のない、「反論」とはいえない「反論」である。しかも、この同一の写真の使い回しは、別の写真を間違って使用したというようなものではない。写真2で見るように、もともとNo7の1枚の写真の一部を拡大して切り抜いて写真No11としている。写真No7を加工してつくったのが、写真No11である。