12月13日に、六代目山口組が例年通り、年末の会合を開催したが、対立関係にあるとされる神戸山口組は、その日に会合を開催させなかった【参考記事「六代目山口組が年末会合を開催」】。巷では、かねてから山口組分裂問題は六代目山口組の圧倒的有利なまま、近々終結を迎えるのではないかと囁かれている一方、完全な問題解決までにはまだ時間がかかるのではないかと指摘する声もあった。さらにここの来て、そうした見方を裏付けるような動きがあった、関係者が口にしているのだ。
「毎年、山口組では12月13日に事始めや納会を開催させ、そこで来年度の組指針を発表させるという習わしがある。それは神戸山口組も同様だった。だが今年はそういった会合を開催させていない。しかし、来年の組指針は発表されたようだ」(業界関係者)
神戸山口組が令和4年度の向けて発表したといわれる組指針は「刻苦義励」。関係者によれば、その意味とは「心身を苦しめてでも、信念のために励むこと」だという。
「この組指針を見ても、神戸山口組サイドは、当面は分裂問題終結につながる何らかの動き、つまりは解散などをするつもりはないのではないか。つまりはどんなに組織が弱体化しても、来年も現在のような姿勢を続けていくということかもしれない」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
実際にそうなれば、危惧されるのは六代目山口組の対応だ。なぜならば、六代目山口組は神戸山口組の存在自体を認めていないからだ。仮に神戸山口組が、昨今のように攻撃的アクションを起こさず、沈黙を継続したとしても、六代目山口組としては、その状態すら認められないということになる。つまりは「もう抗争する時代ではない」といわれている中でも、神戸山口組を消滅させるべく、何が起きてもおかしくはない緊張状態が続いていくというわけだ。
「どういった決着を迎えるのかは、もちろんワシらにはわからない。ただ神戸山口組の存在を認めてしまえば、これまでのヤクザ社会における伝統的な盃の意味を否定することになる。いったん親子の盃を交わした人間が、親に反抗し、山口組の代紋を掲げ続けることは許されないからだ。神戸山口組が解散なりして、山口組の代紋を下さない限り、問題が解決されることはないだろう」(六代目山口組某二次団体組員)
そうした一方で、山口組とは一線を画しているのが、かつては分裂騒動のさなかにい絆會(旧「任侠山口組」)といえるだろう。12月13日、絆會は会合を開催させたが、そこで配られた絆會の代紋が現在、SNSなどで拡散されているというのだ。
「今では組織側が意図せず、重要な情報がすぐにネットなどで出回る時代になりました。もちろん信憑性は定かではないものを含めてです。今回は、絆會の会合が開催された翌日に、かつて使用していた山口組の菱の代紋のイメージとはかけ離れた、絆會の新しい代紋がネットに出回りました。ただ代紋は隠すものではなく掲げるもの。ネットに拡散されたとはいえ、そもそも組員らに配られ、公になったものですから、拡散状態は放置しつつ、“脱山口組”を果たした絆會の新しい姿を業界内外に印象づけるのではないでしょうか」(在阪記者)
今年も残すところわずかとなったのだが、それぞれの組織が新しい年に向け、スタートを切ったといえるのではないだろうか。