7年目へと突入した山口組分裂問題。いまだ解決に至っていないものの、六代目山口組が圧倒的に優位の中で事態が推移しているのは間違いないだろう。
今年9月、神戸山口組の主力組織、五代目山健組が神戸山口組を離脱。その後、六代目山口組へと復帰を果たしているが、この時点で、勝負はあったといえるのではないだろうか。ただ、それでも分裂問題は解決したとはいえない。神戸山口組がいまだに存続しているからだ。
「神戸山口組の井上邦雄組長は、以前から『自分一人になっても解散しない』と公言しているといわれるほど、組織存続に強い意志を持っている。ただ、そんな状態になってまでも神戸山口組の存在させる意義があるのかといえば、疑問が残ります」(山口組分裂問題に詳しいジャーナリスト)
神戸山口組は、ヤクザにとってはなによりも重要とされる盃を割ってまでも発足した組織。一度は「命を預ける」という契を交わした六代目山口組から、「反逆組織」というレッテルを貼られるのを覚悟してまで立ち上がったといわれていた。そして、そうまでしたのは、六代目体制で苦渋を舐めてきた「若い衆のために」という大義が存在していたともいわれる。
「だが、実際はどうだ。神戸からは続々と六代目サイドへと復帰し、井上組長自ら率いていた山健組も、今では六代目山口組へと復帰している。結果としてだが、一人になっても神戸山口組を解散しないということが、本当に若い衆のためになるのか。そこに結成当初の大義があるのかと、疑念を抱く者が多くなっているのではないか。この間、六代目山口組も神戸山口組も特定抗争指定暴力団に指定され、当局による弾圧はさら強まった。中には分裂抗争に身体を賭けて、長期服役を余儀なくされている組員も存在している。言葉では『若い衆のため』と言っていても、これでは若い衆たちには通じない。その結果が、神戸山口組のここまでの衰退を招いたのではないか」(某組織幹部)
そんな中でも、五代目山健組が離脱した際に、行動を共にせず、神戸山口組に残留した組員らも存在している。彼らは一時、代目を外した山健組として活動していたというのだが、そこにも動きがあったようだ。
「現在そうした組員たちは、山健組という名称を名乗らず、現在は井上組長の預かりになっているようです。今後、そこから組織力ある組員たちを引き上げ、神戸山口組の直参へと昇格させるのではないかと言われています。一方で六代目山口組サイドも、神戸山口組に残留した山健組組員を、五代目山健組以外の組織が受け入れたりしないように通達を出したといわれているんです。つまりは、神戸山口組の元山健組組員らの処遇は、六代目山口組に復帰した五代目山健組が主体的に決定するということになるのではないでしょうか」(地元記者)
神戸山口組に残留を決めた元山健組の直参組長らには、当初、五代目山健組から処分が下されていた。それが、五代目山健組が六代目山口組に復帰したことで、そうした元山健組組員たちも再び五代目山健組へと復帰を果たす流れが出てくる可能性もあるのかもしれない。
六代目山口組と神戸山口組の攻防は表面化していない。だが、水面下ではさまざまな動きが起きているようだ。分裂問題の最終章は、着実に進んでいるのだろう。
(文=山口組問題特別取材班)