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六代目山口組・三代目小西一家幹部の殺害事件…分裂騒動とは無関係というその事件の要因は?

文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部
六代目山口組・三代目小西一家幹部の殺害事件…分裂騒動とは無関係というその事件の要因は?の画像1殺傷事件が起きた横浜市内の現場

 3月20日、午後1時30分頃。神奈川県横浜市で、全国のヤクザ業界関係者が一時緊迫する事件が起きた。

 一部マスコミでも報道されているが、横浜市内にあるラーメン店内で、六代目山口組傘下である三代目小西一家の小濱直史統括委員長が刺殺されたのだ。犯人は3月24日時点で逮捕されていないが、現場から立ち去った稲川会傘下である十二代目小金井一家の組員とみられている。また、小濱統括委員長のほかに住吉会系組員も刺され負傷しているのだが、全国に名を轟かせる3つの巨大ヤクザ組織が絡んだこの事件の背景には、何があったのか。地元関係者はこう話している。

「事の発端は数カ月前まで遡る。原因は小金井一家のシマとされる場所でのシノギ。そのシノギをめぐって、小西一家と小金井一家の間でトラブルとなっていたらしく、これまでも両組織間で幾度か話し合いがあったとも聞いている」

 そうして迎えた3月20日。再び話し合いの場所となったのが、事件現場となったラーメン店だったようだ。小金井一家の組員3人が店内に待機していたところ、小西一家側は車数台、十数人という大人数で現れたため、言い争いの末に殺傷事件に発展。小西一家側に加勢していた住吉会系組員も負傷したという。

「事件後、マスコミ報道より早く、SNSではこうした情報が拡散されましたが、そのなかには同事件前日に起きていた、別の刺傷事件の被害者の血にまみれた写真もあり、『横浜の事件の被害者ではないか』という誤報も含まれていました。また関係者らによると、事件以前の話し合いの席では、小西一家側が、人数でまさる小金井一家側に囲まれ、一触即発の事態を迎えていたといいます。それがあったために、今回は逆に小西一家側が大勢の関係者らを派遣したという話もあります」(ジャーナリスト)

 死亡した小濱統括委員長は、三代目小西一家で若頭に次ぐ重役を務めており、小西一家きっての武闘派。堀政連合の出身で、現在、無期懲役を務める三代目小西一家の最高顧問である二代目堀政連合・小濱秀治会長の養子だという。こうした大物が被害者だっただけに、今回の事件が引き金となり、両者の上部団体まで巻き込んだ抗争に発展する恐れがあるのではないかと警察当局も警戒を強めていたが、ここまで報復と見られる「返し」などは起きていない。

「事件後、迅速な対応がとられ、六代目山口組執行部の最高幹部と稲川会との間で話し合いが行われた結果、和解が成立したようだ。小西一家の二代目総長や小濱統括委員長の義父である小濱会長は、かつて死者まで出した埼玉抗争と呼ばれる住吉会系組織との衝突で、無期懲役を務めている。小西一家が報復に出れば大抗争に発展しかねないと懸念されたが、最悪の事態は避けられたようだ」(六代目山口組二次団体幹部)

 当局による、ヤクザに対する各種取り締まりの強化と厳罰化が現在も続いているなか、どの組織もシノギがしにくい状況になっていることは想像に難くない。結果、そのシノギを守るためのシビアさは、以前にも増しているのかもしれない。山口組分裂騒動に関するものだけではなく、今回のような悲惨な事件を生んでしまう火種はまだまだくすぶっているようだ。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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