ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 札幌五輪招致、開催経費3千億円に
NEW

札幌五輪招致、開催経費3千億円…市民も多額税金負担、東京五輪では膨張

文=Business Journal編集部
【この記事のキーワード】, ,
札幌五輪招致、開催経費3千億円に…東京五輪は1兆円超の2倍に膨張の画像1
札幌市の資料

 2030年冬季五輪・パラリンピック開催を目指す札幌市は4月28日、招致機運を盛り上げるための官民合同の「プロモーション委員会」のメンバーを公表した。最高顧問は麻生太郎自民党副総裁、特別顧問は元東京五輪担当大臣の橋本聖子衆議院議員。会長は岩田圭剛・札幌商工会議所会頭。委員は長野五輪団体金メダリストの原田雅彦氏のほか、政界や経済界を含む36人で構成する。

 札幌市は14年11月、当時の上田文雄市長が26年冬季五輪誘致を表明。その後、30年の招致に変更して準備を進めている。東京五輪の開催が1年延期されたため招致活動は停止していたが、今後は招致をめぐる議論が本格化すると期待している。

 21年11月、札幌市は開催計画の概要を公表した。3100億円~3700億円と試算していた開催経費を最大900億円削減し、2800億~3000億円に収めるとしている。東京五輪では開催経費の肥大化に批判が高まったことから、市民の理解を得るため既存施設を有効利用する方針だ。

 札幌市は今年3月、招致の是非を問うアンケート調査を実施した。市民1万人を対象に、郵送調査(回答率57.8%)をした。「賛成」「どちらかといえば賛成」が52%、「反対」「どちらかといえば反対」が38%だった。

 誘致に前のめりの札幌市に冷や水を浴びせるような世論調査が、その後に出た。地元紙・北海道新聞が4月13日、18歳以上の札幌市民を対象に実施した世論調査の結果を報じた。4月8~10日に調査を実施した。招致について「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人は21年4月の前回調査に比べて6ポイント減の42%。「反対」「どちらかといえば反対」が同7ポイント増の57%、反対が賛成を上回った。反対と賛成の差は前回の2ポイントから15ポイントにまで広がった。一方、全道調査では賛成が51%で、反対の48%を上回った。

 札幌市民の調査で反対の理由は「他にもっと大事の施策があると思う」が前回調査に比べて7ポイント増の58%と最多。「招致活動や施設の整備、維持にお金がかかる」が30%。「その他」では「今年のような大雪になったら対応できるのか」「コロナがまだ懸念される」「国際オリンピック委員会(IOC)が信用できない」などがあった。

東京五輪・パラの経費肥大

 東京五輪・パラの経費肥大の問題が明らかに影を落としている。組織委は21年12月、最終的な開催経費が1兆4530億円となるとの見通しを公表した。誘致段階で試算した7340億円の2倍に膨らんだ。新型コロナ感染拡大で中止もしくは延期を求める声が高まるなかで、巨額の費用が投じられたことになる。

 組織委がスポンサー収入などで6343億円を負担し、残りは開催都市の東京都が6248億円、国が1923億円を分担する。だが、これで収まるわけではない。新国立競技場など五輪開催のために整備した施設の維持費は莫大で、東京都などの財政負担は将来にわたって続く。

 東京五輪の財政負担が膨らんだことを目の当たりにしたこともあって、札幌市民を対象にした世論調査で五輪招致反対が57%にのぼったといえそうだ。1972年、札幌で開催された冬季オリンピックでは、ジャンプ陣が初めて表彰台を独占、日の丸飛行隊と呼ばれた。あのときのような札幌市民の熱狂的な歓迎は期待薄だろう。

 30年の冬季五輪・パラには、札幌市のほかに米国のソルトレイクシティー、カナダのバンクーバー、スペインのカタルーニャ州がアラゴン州との共催で招致に意欲をみせている。市民に歓迎されていない札幌招致の前途は多難である。

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は5月20日、スイスのローザンヌで開かれた総会後、記者会見し、30年冬季五輪・パラの開催候補地を今年12月に絞り込み、23年5~6月にインドのムンバイで開かれる総会で正式決定する見通しを明らかにした。

 IOCのクリストフ・デュビ五輪統括部長は記者会見で「候補地から力強い提案を受けている。12月には全体像を示し、絞り込みができるよう、多くの作業を続けている」と述べた。

(文=Business Journal編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

札幌五輪招致、開催経費3千億円…市民も多額税金負担、東京五輪では膨張のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!