回転ずしチェーン最大手スシローが7月13日から「ビール半額」の半額のキャンペーンを開始したが、その前日にトラブルが起き、インターネット上で物議を醸している。
事の発端は、Twitter上に投稿された以下のツイートだ。
「スシローで生ビール何杯飲んでも半額ってあったから、元々お酒飲む予定じゃなかったけど注文して会計が半額されてなくて確認したら、これは予告であって今は実施していないとのこと。。。 フェアの開始日書いてないのに席に貼られてたら、今実施中と思うのが普通では、、、?w」
“生ビール半額”とのポスターが店内に貼ってあり、それを信じたお客がビールを注文したものの、会計時に定価を請求されたというものだ。該当のポスターを確認すると、「7月28日まで」とは記載されているが、キャンペーンの開始時期については触れられていない。
「さすがにこれはひどい」
「詐欺といっていいレベル」
「景品表示法違反では?」
Twitterでの告発を受けてインターネット上では、このような批判の声が殺到。実際のところ、ポスターを見て、ビールが半額になると信じた客は、定価通りに支払う義務があるのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は、全額支払う必要はないとの見解を示す。
「なんらかのミスなんでしょうけど、これは景表法が『消費者に誤解を与える』として規制する優良誤認、有利誤認のレベルを超えた『虚偽広告』そのものですね。景表法により厳しく取り締まって欲しいところです。
さて、ビール代がどうなるかですが、スシローがお客さんに『半額』としてビール購入を誘因し、お客さんが『半額』と考えてビールを注文している以上、お客さんは差額分について契約は成立していないとして、半額を支払えば十分と思います。すでに『全額』を払ってしまっていたなら、『錯誤』として半額を返してもらうべきです」
スシロー運営元のあきんどスシローは13日、公式サイトに謝罪文を掲載。社内で確認した結果として、全国32店舗でキャンペーン開始前からポスターを掲載していたと明らかにした(13日19時時点)。その期間中にビールを注文していた客に対して、レシートを持参すれば差額を返金すると発表した。
Business Journal編集部は、スシロー親会社であるフード&ライフカンパニーズの広報部に直接問い合わせた。
――キャンペーン期間外にもかかわらず、キャンペーンが始まっているかのようなポスターが掲載されていた店舗はどのくらいあり、影響を受けた客がどのくらいいるか把握していますか。
広報担当「現在調査中で、判明した情報は随時HPに公開いたします」
――キャンペーンの開始時期が記載されていないポスターということは、キャンペーンが開始してから掲載するべきものだと思いますが、その旨を各店舗に周知されていなかったということでしょうか。
広告担当「そうだと考えられます」
――先月、おとり広告で消費者庁から措置命令を受けたばかりで、広告には注意を払っていたと思いますが、不十分だったのではないでしょうか。
広報担当「お客様の目線からすれば、そうだったといえると思います」
スシローは昨年9~12月に、「新物!濃厚うに包み」「冬の味覚!豪華かにづくし」といった広告をテレビなどに流してキャンペーンを展開。しかし実際には、販売期間中に早期に完売して販売できなかったり、在庫不足を懸念して販売を一時停止していたにもかかわらず、広告は出し続けていた。
それが、景品表示法違反(おとり広告)であるとして先月、消費者庁から措置命令を受けた。そして7月8日には、監査委員がまとめた調査報告書を公表し、フード&ライフカンパニーズの水留浩一社長が月額報酬の3割を3カ月間、自主返上するなどの処分を発表したばかりだった。
(文=Business Journal編集部)