メンタリスト・DaiGoが23日、自身のYouTubeチャンネル上に『【芸能界の闇】田村淳についてお話します。』と題する動画を公開。タレントの田村淳(ロンドンブーツ1号2号)がYouTube動画内でDaiGoに関して事実ではないことを発言したとしてDaiGoが指摘したところ、田村は自身のメインチャンネルより登録者数が少ないサブチャンネルで謝罪し、その後も田村は当該発言をした動画を半年以上も公開し続けたと批判。さらに示談交渉の過程で田村サイドが「嘘をついたという謝罪はしない」という項目など「ものすごくいろんな条件をつけて」きたと告白。「人の道を外れる行為」「ご立派なことをコメンテーターとして発言されてますけど、ご自分はどうなんですかね?」などと田村への批判を展開した。
DaiGoは2021年に自身の問題発言をめぐり世間的に批判を浴び謝罪するに至ったが、その騒動のさなかの出来事として、「(田村が)僕のことを、僕が言い返せない状態のときに、事実ではないことで攻撃してきた。そのタイミングで」と切り出した。具体的には、あるテレビ番組内でDaiGoがパフォーマンス中に自身のスタッフにサインを送らせていたのを見たという事実に反する内容を、田村が語っていたという。続けて、
「彼の場合は、もっとあくどいことをしてまして、自分の非を認めず逃げるんです」
と言い、田村は問題の発言を行った動画をアップしたメインチャンネルではなく、サブチャンネルのほうで謝罪したことに疑問を呈した。
「『嘘をつきました』というふうには認めてないんですね、彼は。『確固たる証拠がないのに言ってしまって申し訳ありません』っていう言い方をしたんですよ。すごくないですか? この自己正当化」
「コメンテーターとかやって、人さまに偉そうにコメントしている人間が、このザマですよ。これがまさに矮小化」
「嘘をついたという謝罪はしない」
その後、DaiGoと田村は双方、弁護士を立てて示談交渉を行ったが、田村サイドから多くの条件を提示されたといい、次のように憤りを語った。
「謝罪を要求したら、なぜか向こうが謝る立場なのに『(ピー音)』とか、もう酷かったんです。示談交渉の過程で何が交渉になったかとか、向こうがなんの要求をしてきたかって、僕が言っちゃいけない契約になってるんです」
「最後まで向こうが認めかなったことが何かっていうと、『発言が嘘だと、嘘をついてすいませんでした、っていう謝罪はしない』って言ったんですよ。『確固たる証拠がなかったのに言ってしまったという謝罪はしてもいいけど、嘘をついたという謝罪はしない』。おかしいでしょ? って言ったんですけど、それは絶対嫌だったらしいです」
DaiGoは、田村との示談内容について公に明かすと田村サイドから名誉棄損で訴訟を提起される可能性があると懸念を示したが、そのリスクを取ってまで公表した理由について、次のように説明した。
「僕みたいなタイプだったら言い返せるけど、一般の方とか、弱い事務所のタレントとか新人の人だったら、多分泣き寝入りですよ」
「ジャニーズの問題もそうでしたけど、やっぱり芸能界ってね、言わせない、黙殺して被害者を闇に葬るっていう、そういう構造がある」
「権力がある事務所とか、あと経営者とかタレント。こういう人たちが立場の弱いタレントさんとかを踏みにじって、自分が悪いにもかかわらず追い詰めて、黙殺すると。やっぱ、この件からも感じられる。芸能界の闇って、こういうことなんです」
テレビ界の高圧的な体質
田村といえば昨年8月、SNS上で芸能人や企業経営者などのプライベート情報を明かし攻撃を展開して今年3月に常習的脅迫、名誉毀損、強要、威力業務妨害の容疑で逮捕状が出された元参議院議員のガーシー氏を、自身のYouTubeチャンネルのコーナー「セカンドチャンス」に出演させ、議論を呼んだことも。
今年2月には、カリスマ・キャバ嬢で実業家のエンリケ氏をゲスト出演させたが、彼女は昨年、自身が経営していたシャンパンサロンで客の死亡事故が発生したほか、経営するエンリケ空間をめぐる買取事業の出資法違反問題などがたて続けに発生。被害者から警察に被害届が出され、出演当時は返金などしかるべき対応はまだ終わっていない模様だっただけに、「セカンドチャンス」出演について時期尚早という批判も続出。このほか、田村は元タレント・木下優樹菜を出演させようとし、いったんはオファーを受けた彼女が出演をキャンセルしたという裏側の経緯を一方的に公にし、木下から反論されるという騒動もあった。
テレビ局関係者はいう。
「少し前にも、TBSの報道番組から匿名を条件に取材を受けた一般人が、番組サイドによる画像修正が杜撰だっため身元がバレて勤務先を退職に追いやられたことを週刊誌に証言し、記事を出さないようTBSから圧力を受けていたことが判明するという出来事があった。ほかにも、番組スタッフから失礼な協力要請を受けたという証言や、一般人が貴重なものを番組に貸し出したのに返却されないといった告発がここ数年で増えている。私の知る限りでも、一般の人に十分に趣旨を伝えずに番組に出演してもらいトラブルになり、それを公言しないよう口止め工作をするというような例はいくらでもある。
DaiGoは動画内で、過去に出演したある番組で自分のスタッフたちを全員スタジオから締め出されたこともあったと語っているが、ハプニング的な要素を打ち出すために一般人である出演者をだまし討ちするような手口はいまだに横行しているのが現実。いくらSNSが普及して誰でも声をあげられる環境が整いつつあるとはいえ、キー局は豊富な資金力で大手の弁護士事務所を使うこともできるし、一般人にとって巨大組織であるキー局は対立するには怖い存在であり、弱い立場に追い込まれる。実際に容易に太刀打ちできる存在ではない。今回のDaiGoの告発には、単に田村個人への感情を超えて、テレビ界、ひいては芸能界の高圧的な体質に対する問題意識があるのではないか」
気になるのは、示談が成立しているにもかかわらず、DaiGoがその一部内容を含めて田村サイドとのやりとりを公表している点だ。通常、示談の内容は口外してはいけないものだと認識されているが、弁護士法人 直 法律事務所代表弁護士の澤田直彦氏はいう。
「一般的に示談書を作成する場合は口外禁止条項を設けることが多く、この条項があるにもかかわらず、どちらか一方の当事者が口外すれば、契約違反=債務不履行となり、契約を破られた側は破った側に対して損害賠償を請求できます。ただ、破られた側は、口外されたことよってどれくらいの金額の損害を被ったのかを立証する必要があり、ハードルが高いのが実情です。そのため、あらかじめ示談書のなかに契約不履行の際の違約金を明記することもあります。また、金銭的な損失を立証できない場合、精神的苦痛を被ったことを理由に慰謝料を請求することも考えられますが、日本の判例ではこのような事案で慰謝料が認められたとしても数十万円~100万円程度が認定されることも多く、必ずしも高額な慰謝料の支払いが認定されるとは限りません。」
両者の対立は収まりそうにない。
(文=Business Journal編集部、協力=澤田直彦/弁護士法人 直 法律事務所代表弁護士)