仮に「結婚」という制度が、少子化の一因になっているのであれば、結婚制度は全廃してもよいのではないかとも思えてしまいます。
そこで、本コラムでは、「一体、結婚とは、誰のためのものか?」という基本的な疑問を抱えつつ、いわゆる形式婚と事実婚のメリットとデメリットについて検討し、どちらが少子化問題を解決するものであるのかを、考えてみたいと思います。なお、「結婚」「形式婚」「事実婚」の用語を、以下のように定義します。
「事実婚」…婚姻届の提出を行わないもの。
「結婚」…婚姻届の提出を行うもの。上記と対比するため、「形式婚」ともいう。
婚姻届が受理されたその瞬間から、結婚したカップルには、恐ろしいほど強力な権利と義務が発生します。そして、それを遵守させるように、「お上(行政と司法)」がにらみを利かせています。今回は、私が気になった順に、結婚による効果を5つご紹介します。
●その1…結婚すると「浮気」は不法行為になります
婚姻届を提出した瞬間から、「浮気したら、パートナーに後ろめたい」などと甘い考えでは済まされなくなります。
結婚後の浮気は「法律上の不法行為」として、浮気をされた側は司法(裁判所)を介入させ、浮気をしたパートナーと浮気相手に対して損害賠償請求(民法709条)等の措置を取ることができます。
なぜ、「結婚後の浮気=不法」となるかというと、結婚すると「貞操の義務」が発生するからです。
実は、私は、この「貞操の義務」の法的根拠がどこにあるのかわからなかったのですが、調べてみたところ、以下の条文から導かれるらしいです。
民法752条:「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」
このほほえましい、中学や高校の校訓のような条文からスタートして、以下のステップで「貞操の義務」まで導かれます。
(ステップ1)
婚姻届の提出および受理によって、単なる男女のカップルが法律上のカップルに格上げされます。
(ステップ2)
格上げされたカップルは、お上によって、法律による権利と義務が発生し、法律上の「家庭」と「家族」が規定されます。我が国では、それらは学校や会社などの組織とは比較にならないほど、非常に重要な国家の基盤(プラットフォーム)として取り扱われています(戸籍制度の説明については割愛します)。
(ステップ3)
そうであれば、「浮気」は――「家庭」「家族」を不和にさせるだけにとどまらず、国家基盤を破壊するテロとも解釈できます。
(ステップ4)
そこで、法律は、「家庭」「家族」の構成員の利益(私益)と、国家の利益(公益)の両方を守るため、次の条文において離婚の成立要件の根拠として浮気等が「不貞行為」であり「不法」であると定めます。