だが、動物実験で発がん性の可能性が指摘されたため、食品安全委員会は1980年から使用基準を「最終食品の完成前に過酸化水素を分解し、又は除去しなければならない」と定めた。結果、カズノコや分解加工を施したシラス以外での使用は事実上ない。カズノコは一般的には正月などたまに少量食べる程度のため、過酸化水素が原因でがんになる可能性はほとんどないと思われるが、韓国ノリには過酸化水素が含有されている疑いが極めて高く、リスクを無視できないと、日本海側の廃棄物処理関係者の間で話題になっている。
前出の自治体担当者は「他の自治体で、ポリタンクそのものにノリ養殖業者の名称が書かれていたことがあった。ノリの養殖イカダが丸ごと流されてきたこともある。イカダには過酸化水素のポリタンクが山積みになっていて、調査した結果、釜山のノリ養殖業者が出元だったと判明した」と明かす。
●価格競争激しい韓国ノリ、安全より効率優先?
環境省によると、ポリタンクの漂着が問題になり始めたのは99年ごろから。海上保安庁の統計では、日本海沿岸で確認されたポリタンクは99年度に約3万8000個あり、問題が表面化したことから2000年度は約1万1000個と減少したが、02年度に約2万9000個と再び増加に転じたという。その後、統計は環境省が引き継ぎ、直近のまとめでは12年度に全国で9723個を確認。そのうち過半数の4950個にハングル表記が確認されている。
統計上は最盛期よりも数が減っているように見えるが、前出の自治体担当者は「実際に流れてきているのは、そんなに少なくない」と断言する。漂着が当たり前になった結果、統計の精度が鈍くなってきているというのだ。「問題はまるで解決していない。国際会議や外務省、環境省を通じて韓国側に抗議しても、まったく減る気配がない」(同)
環境省は海岸漂着ゴミの撤去費用として13~14年度の2年間で100億円の基金を積んでいる。海岸の自治体が費用を負担するが、基金を取り崩す補助金で全額がカバーされている。沿岸の住民は「処理業者の定期収入になっている」と皮肉交じりに語るが、そもそも韓国人や中国人の勝手なゴミ捨てに巨額の税金がつぎ込まれているとはバカらしい話だ。環境省関係者は「いつも韓国側は『わが国のゴミという証拠はない』と主張する」というから、取りつく島もない。
話を韓国ノリに戻そう。韓国では昨年の夏、ノリ巻きや冷麺から大腸菌が検出されるという騒ぎがあったが、過酸化水素は問題になっていない様子だ。ソウルに暮らす駐在員は「ノリは加工食品の中でもとりわけ安価で価格競争が激しい。安全よりも効率を最優先した生産方法になっている可能性が高い」と警鐘を鳴らす。韓国土産やコリアンタウンでも目にする韓国ノリ。食べだすと止まらない人も多いだけに、日本人の健康を守るためにも輸入時の検査の徹底が急がれる。
(文=編集部)