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最年少市長贈収賄事件の怪 危うい水ビジネスの罠、警察のスケープゴートか

文=関口威人/ジャーナリスト
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最年少市長贈収賄事件の怪 危うい水ビジネスの罠、警察のスケープゴートかの画像1美濃加茂市内の中学校に設置された水源の浄水設備
 昨年、「全国最年少市長」と脚光を浴びてから一転、贈収賄事件の被告人として身柄拘束され続けている岐阜県美濃加茂市長の藤井浩人被告(30)。学校プールの浄水設備導入をめぐって業者から30万円を賄賂として受け取った疑いがかけられるが、市長側は一貫して現金の授受を否定。警察、検察と真っ向から対立している。ただし、藤井被告がこの浄水設備にのめり込んできたのは事実だ。贈賄側業者と協働してきた関係者の証言からは、その危うい「水ビジネス」の実態が浮かび上がってくる。

●現金授受は否定、弁護団は「人質司法」批判

 名古屋地検の起訴状によると、藤井被告は美濃加茂市議時代の昨年3月から4月にかけ、名古屋市の地下水供給設備販売会社、水源社長の中林正善被告(44)=贈賄罪などで起訴=から「浄水設備を市に導入してほしい」などと頼まれ、市議会で導入検討を促す発言をしたほか、市担当者に契約締結を働き掛けた。その見返りとして4月2日に10万円、同25日に20万円を中林被告から受け取ったとされる。

 受託収賄容疑で今年6月24日に逮捕、7月15日に起訴されても、藤井被告は「現金は一切受け取っていない」と無実を訴え、市長も辞職しない意思を表明している。弁護側は再三、保釈請求などの手続きを取ったが、裁判所は「罪証隠滅の恐れがある」などとして却下。弁護団の郷原信郎弁護士は「否認する被告人を長期間拘束して冤罪を生み出す『人質司法』だ」と批判している。

 今後は争点を詰める公判前整理手続きなどを経て初公判の日程が組まれる。藤井被告は浄水設備の導入を目指していたことは認めており、市議会での発言や市の担当者への働き掛けについては争わない見通しだ。法廷での意見陳述でも「この浄水設備が美濃加茂市民にとってよいものだと思っていた」と強調していた。そもそも市長本人が導入に前向きだったのに、業者がわざわざ賄賂を渡すこと自体、不自然だともいえる。

 市長がここまでのめり込んだ浄水設備とはなんなのか。贈賄側の水源の資料や関係者の証言から、その詳細が見えてきた。

●災害対応の浄化設備、売り込みは偽りだらけ

「自然循環型雨水浄水プラント」と銘打ったその設備は、学校の校舎や体育館の屋根、そしてプールにたまる雨水を濾過器などで浄化、受水槽に貯めて災害時の「生活用水」などに活用するのだという。学校などのプールにはもともと濾過装置が付いており、使用時は常に水を循環、浄化している。ただし、それは髪の毛や雑菌を除去するのが目的で、飲用には適さない。

 一方、水源のこの設備は通常の濾過装置とは別に、配管を新たに引いて濾過器などを取り付け、飲用レベルまで浄水する。ポンプなどの動力は太陽光発電でまかない、バックアップ用にプロパンガス発電機も備える「自立型」のシステムとなっていた。

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