そのような中、当初は各党議員と政治家以外のパネリスト数人が討論するという構成であった討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系/11月29日放送)が、放送日直前に議員のみの出演に変更されていたことが明らかとなった。出演予定者だった評論家の荻上チキ氏のTwitterによれば、放送日2日前の27日に番組スタッフから電話があり、「ゲストの質問によっては中立・公平性を担保できなくなるかもしれない」との理由で議員のみの出演に変えると伝えられたという。
「番組スタッフに『誰かが何か言ってきたりしたんですか?』と確認しましたが、あくまで局の方針と番組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番組スタッフも戸惑っていた模様です」(荻上氏のTwitterより)
●安倍首相、放送前の番組に口出し
自民党の要望が早くもテレビ局の番組制作に影響を与えている様子がうかがえるが、立教大学社会学部教授(メディア論)の服部孝章氏はまず、安倍政権の政治運営における「公平中立さ」に疑問を投げかける。
「安倍晋三首相は、かつて次年度のNHK予算案を説明しにきた同局幹部が放送前のテレビ番組『ETV2001 戦時性暴力を問う』の内容に触れた際、番組内容について『公正公平に』と発言したことを認めている。放送法にも明記されている『公正』『公平』をテレビ局幹部に求めることは問題ないとしても、放送前の番組について発言することは政治家の行動として許されるものではない。当時安倍氏は政権政党であった自民党執行部の一人であり、政権の中枢に身を置く人物の行動ゆえに事は重大であり、少数野党の政治家であっても認められるものではない。
今回の文書には『公平中立、公正』という用語が6回も表記されているが、安倍政権はこれまで『公平中立、公正』な政治運営を行ってきたのか。例えば、政権公約になかった特定秘密保護法を提出し十分な審議をすることなく成立させ、細部を検討することなく12月に施行させた。また、集団的自衛権を閣議決定するなど、公正さを疑われるような政治運営を展開してきた」