今回、同社の労働組合報など12~14年分までの一部を入手した。そこにはパワハラや致死レベルの長時間労働、果ては未払い残業代の請求権を放棄させるなど、到底「社会の木鐸」とは思えない職場環境がまかり通っていた。資料をひもときながら、その実態に迫る。
入手した資料で最も古いものは12年10月24日付で、それらの組合報に掲載されている社内アンケートでは、慢性的な長時間労働の解消を求める声などが寄せられている。
また、労使間交渉では、文化部や出向社員による不明金や着服問題が生じたことも発覚した。その際の労使間のやり取りから、金銭にルーズな同社の体質が浮かび上がる。
【文化部の不明金について】
組合:経緯の説明を。
F労務担当役員(以下、F労担):○○大会の決算で39万円ほどの不明金が生じた。(略)会社は捜査機関ではない。関係者の善意の証言がなければ断定はできない。不明金は損金として処理する。
(略)
組合:問題発覚後、真相究明のため社内的にどういった調査を行ったのか。
F労担:関係者から文化部長が詳細に事情を聴いた。
組合:経理、人事、総務など管理部門の第三者を入れて調査するべきではなかったのか。
F労担:複数の人間が調べれば、容疑者扱いすることになると判断した。
組合:領収書の有無、支払いの履歴はどうなっているのか。
F労担:(略)捜査機関への届け出も考えていない。魁の県紙という立場もある。文化部に警察官が来て調べるのは避けたい。
【出向社員の広告売掛金流用について】
組合:経緯の説明を。
F労担:関連会社から営業局への出向社員が売掛金30数万円を着服した。本人も認めており、出向元を10月末で依願退職した。本人は返済の意思を示している。管理監督責任について近く懲罰委員会の開催を予定している。刑事的な手続きを取ることは考えていない。
●慢性的な長時間労働とパワハラ
13年2月の討議資料に掲載されたアンケートでも、長時間労働や人員不足、パワハラを訴える声が多くを占めており、状況は深刻さを増している。