かんぽ生命、契約者がチェックすべき「詐欺的手口リスト」総まとめ…高齢者をターゲット
かんぽ生命の商品の販売自粛と広がる影響
かんぽ生命の商品を取り扱う郵便局では、同社の保険商品の販売を8月末まで自粛(7月31日現在、顧客対応に時間を要するとして、9月以降も自粛する見通し)。これはかなり異例なことで、事態の深刻さがうかがえる。
それだけでなく、郵便局が受託販売している日本生命、三井住友海上プライマリー生命の変額年金保険、住友生命の医療保険など、かんぽ生命以外の商品も販売を自粛。損保各社の自動車保険も当面の自粛を検討しているようだ。
ただ、2008年から取り扱いを開始したアフラックのがん保険については、2017年度の新契約のうち約25%を占めるまでとなっており、アフラック側が継続を求め、営業を続ける方針という。とはいえ、かんぽ生命の営業自粛で、加入希望者への契約以外は、訪問や電話による営業活動は行われていない。がん保険もかんぽ生命の商品とのセット販売で伸びてきたわけだから、影響は大きいだろう。
不適切な「合理性が疑われる」契約とは?
それでは、今回問題になった“不適切で”“合理性が疑われる”契約とは、どのようなものだったのか。主なものを挙げてみよう。
・保険料の二重徴収があった事例
かんぽ生命では、新契約締結後6カ月以内に旧契約を解約すれば、契約乗換とみなされ、郵便局員に支払われる手当や営業成績が新契約の半分となる。そのため6カ月経過後に解約させ、その間の新旧契約の保険料を二重に負担させていた(2016年4月~2018年12月で、想定件数2万2000件)。
一般的に保険を見直す場合、無保険期間をつくらないため新しく保険に加入できたことを確認してから、旧契約を解約する。そのため、1カ月程度、保険料を重複して支払うよう勧めるケースはあるが、それ以上となると単なるムダな支払いである。
・旧契約後の病気等で新たな契約が締結できず無保険となった事例
顧客が旧契約の解約から3カ月以内に新契約を締結した場合、契約乗換として扱われて手当等が減ってしまうため、解約から3カ月を超えてから新契約を締結させる。この間、顧客は無保険となってしまい、保険の支払い事由に該当しても保険金等がもらえない(契約前の4~6カ月間に無保険だったケース。2016年4月~2018年12月で想定件数4万7000件)。さらに、病気等によって引受け謝絶となり、結果として無保険状態となる(2014年4月~2019年3月で想定件数1万8900件)。