「個人型確定拠出年金はもともと、フリーランスや自営業者向けに老後の生活資金を準備する目的で設立された制度ですが、2017年からiDeCo(イデコ)としてリニューアルされ、ほとんどの国民が加入できるようになりました。拠出額の全額が確定申告の際に所得控除されるので、節税対策として大きな魅力です」(井澤氏)
ろうきんwebサイトの節税シミュレーターで試算してみると、例えば「30歳・独身・年収400万円・月々の掛け金2万円」なら、年間の節税メリットは、所得税と住民税合わせて3万6200円だ。しかも、このメリットは毎年続く。
iDeCoの年金積立金は原則60歳から受け取ることができ、月々2万円ずつ30年間積み立てれば、720万円もの年金資産になる。自分の好きな金融商品で運用するので、実際は720万円以上になるはずだ。運用といっても、株アレルギーの人は元本確保型の定期預金に掛けることもできるので、リスクゼロの運用もできる。
30年間運用した結果、利息・運用益が出た場合、通常はそこから税金(20.315%)が引かれるが、iDeCoなら非課税だ。そして、60歳以降に老齢給付金として受け取る場合も、各種控除の対象となるので、一定額まで税金がかからない。
iDeCoの加入者数は、今年1月末で115万人となった。全体の加入率(加入対象者数に占める加入者の割合)は、まだわずか1.7%である。
「13年からの所得税増税、14年からの消費税・住民税増税、15年からの相続税増税・贈与税減税、そして今回の消費税増税。税制改正が相次いでおり、増税ラッシュと呼んでいい状況です。また、税金だけでなく、社会保険料と年金負担も大きくなっています」(井澤氏)
目先の消費税ばかりに気をとられていると、国からいいようにされてしまう。
(文=横山渉/ジャーナリスト)