不動産経済研究所の調査によると、2017年の首都圏の新築マンション平均価格は5908万円で、3.3平方メートル当たりの平均坪単価は283.5万円。なかでも、東京23区の平均は7089万円で、坪単価は357.4万円に達します。都心部の人気エリアの新築マンションでは平均坪単価が1000万円という例もあります。
東京カンテイの試算によれば、平均年収の何倍で買えるかを示す年収倍率は、16年段階で首都圏平均は10.68倍で、東京都は11.46倍、神奈川県は11.70倍。これでは、とても平均的な会社員には手が届きません。これは16年価格が対象であり、17年には価格が上がっているので、年収倍率はもっと高くなるはずです。
では、庶民は新築マンションを諦めるしかないのかといえば、決してそんなことはありません。どうすればいいのでしょうか――。
「安かろう、良かろう」を見つける
どんな商品でもそうですが、値段には高い安いがあり、商品の質には良い悪いがあって、組み合わせると図表にあるようなマトリックスになります。
左下の「安かろう、悪かろう」というのは、たしかに安いけれど通勤に2時間かかる、建物は安普請で管理もなっていない物件。こんな物件は、いくら安くても願い下げです。買ってしまうと、住み心地が悪く、かといって売るにも売れません。対極の右上は、「高かろう、良かろう」で、都心に近い便利な場所にあり、住み心地も悪くないのですが、何しろ高額。5000万円以上は当たり前で、どうかすると億ションになって、庶民ではなかなか手が届きません。
では、諦めるしかないのかといえば、決してそんなことはありません。右下の、「安かろう、良かろう」というマンションを見つければいいのです。「そんなうまい話があるはずはない」という声も聞こえてきそうですが、諦めずに探せば、それに近いものを見つけられるはずです。
山手線の駅まで20分、坪単価200万円以内の大手有名企業が手がけたマンション
そこで、比較的便利な場所にあって、庶民でも手に入る価格帯で、かつ建物のスペックや共用施設、管理も充実という三拍子揃った物件として、以下の条件で新築マンションを探してみてはどうでしょうか。
(1)最寄り駅から山手線ターミナル駅までの乗車時間が20分以内の便利な場所にある
(2)坪単価200万円以内、価格にして2000万円台から4000万円台で手に入る
(3)大手が手がける総戸数200戸以上で共用施設・管理が充実している
(1)は便利な場所にあるということですし、(2)は庶民でも手に入れられる範囲ということで、(3)の大手不動産が手がけた総戸数200戸以上の大規模マンションであれば、「安かろう、悪かろう」ではなく、建物のスペックも高く、共用施設や管理も充実しています。
この3条件が揃えば、買ってはいけない「安かろう、悪かろう」という粗悪な物件ではなく、反対に、「高かろう、良かろう」という手が届かない物件でもありません。「安かろう、良かろう」ということで、それなりの水準の住まいを、リーズナブルな価格で提供してくれる希有な存在のマンションということなのです。