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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

孫はこうして「アポ電」の“加害者”になった…特殊詐欺の手口はここまで巧妙に!

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表、保険・介護・相続ジャーナリスト

生命保険を騙る詐欺

 ここ最近、生命保険を悪用した事例も出始めている。筆者の取材では、まだ件数的には極めて少ないながらも、生命保険に関する被害も発生していることを把握している。実際に被害を未然に防止したA子さんの事例を紹介したい。

 A子さんは、保険契約者のB子さんから「契約者貸付(けいやくしゃかしつけ)」の相談を受けた。契約者貸付とは、公益財団法人生命保険文化センターによると、契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で、貸し付けを受けることができるというもの。一般的に契約者貸付を受けている間も、保障は変わりなく継続し、配当金を受け取る権利も継続する。ただし、保険種類などによっては、利用できない場合があるという。契約している保険でお金を借りるというイメージになるだろうか。

 B子さんの話によれば、息子(Cさん)の部下が失敗をして200万円の損失を出し、Cさんから「このままだと会社に迷惑をかけるし、俺の出世にも響く。俺の貯金は、子供の教育費で物入りだから、ちょっと厳しい。本当に申し訳ないけど、母ちゃんが入っている保険でお金を貸してもらえない?“契約者貸付”というお金を貸してくれる制度があるらしいので、それがいくらになるか聞いてもらえない?」と言われたという。

 生命保険協会について少々説明したい。日本国内で営業している生命保険会社が加盟する一般社団法人だ。生命保険事業の健全な発達および信頼牲の維持を図ることを目的として各種事業を行っている。本部を東京・丸の内に置き、全国50カ所に地方協会がある。

 生命保険協会では特殊詐欺被害ゼロを目指し、継続的に鋭意取り組んでいる。HPで注意喚起を行ったり、警察庁や金融庁との連名による被害防止啓発ポスターを作成し、各生保会社の本社、支社、営業所に掲示してお客様に注意喚起するなど、積極的にさまざまな活動を展開している。

 地方協会においても、特殊詐欺被害防止の啓発ポスターやチラシを会員各社に配布し、営業職員等はこうしたツールをお客様を訪問する際に配布して、お客様に不審な点、疑問点を気づいてもらう。生保協会広報部はこう話す。

「当協会では特殊詐欺防止を目的として、地方協会と地元都道府県県警との間で特殊詐欺被害防止協定の締結を進めており、すでに一定程度の都道府県で締結が完了したところです。全国47都道府県に54の地方協会があり、すべての地域で同一レベルの活動を行うことができるのが当協会の強みなので、今後も順次協定締結を進め、地方協会と地元都道府県県警が相互に連携し、生命保険各社を利用するお客様の財産保護、安心・安全の確保に取り組んでいきたい」

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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