孫はこうして「アポ電」の“加害者”になった…特殊詐欺の手口はここまで巧妙に!
昨今、「検察庁」「百貨店」「銀行協会」など社会的信用度が高い存在の名称を騙る“アポ電”の被害に遭う方が多い。加害者たちが次に描くのは、どんなシナリオなのか。いたちごっこは、いつまで続くのか。
また、被害者のなかにはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症されて苦しみ続ける方もいらっしゃると聞く。その一方で、いつ加害者になるかもしれない“落とし穴”も見え隠れする。被害者も加害者も出さない世の中を願って、本稿を「STOP THE 特殊詐欺」のまとめとしたい。
予測される次の手とは?
一昔前は「オレだけど」と、子供や孫を騙ったシナリオが主流だった“アポ電”も、今や社会的信用度の高い名称や人物が登場し、権威に弱い高齢被害者の心理を巧みに操る事例が続出している。登場人物が複雑に絡み合うシナリオを知るにつけ、犯人側はよほど心理戦に長け、頭の回転の速い“脚本家”が揃っているのではないかと思うぐらいだ。百貨店や銀行協会を騙る特殊詐欺被害も、一般の方々に広く浸透・認知されれば、新たなシナリオがつくられるように思えてならない。実際、新元号に乗じて、「キャシュカードが使えなくなる」などの新たな手口も生まれている。
では、次に狙われる社会的信用度の高いキーワードは何か。あくまでも私見にすぎないが、「法律」「生命保険」「消費者」に関連した団体名も候補の一つになり得るのではないかと思う。
電話ではなく郵便物を利用したアポ電のニューバージョンともいえる手口があるので、紹介しよう。「法務省」の名を不正に使用した被害だ。
差出人は「法務省管理局」「法務省事務局」などと騙り、「最終通告通知」「法務省許可書」などと書かれた架空請求の郵便物を送りつける。法務省のHPでは、こうした部署や書類は実在しない旨が明記されている。
ちなみに、「消費者庁」「消費者生活センター」「国民生活センター」「生命保険協会」「生命保険文化センター」などは実在する。しかし、こうした団体は、相談者がアクションを起こせば相談窓口となったり、相談先を案内することはあっても、相談者がアクションを起こさない限り、こうした団体から個人へ連絡することは通常考えられない。
こうした団体から、キャッシュカードやクレジットカードの不正使用の連絡があれば、多くの方は驚き、冷静な判断が咄嗟にできず、聞き入ってしまっても不思議ではないと考える。今一度、深呼吸して考えてみることが大切ではないか。