『金額が適当ゆえ、持ち家/賃貸どちらが得かはわからない?』
前回、住宅は値付けが適当なので、金額面からのみでは、持ち家と賃貸のどちらが有利かわからないという内容を書かせていただきました。
ですが、「でも、裏を返せば適正金額で購入できれば、賃貸よりも有利な条件で持ち家を保有できるのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。その答えは「はっきりNO」となるわけですが、そのあたりの検証は次回に行うとして、今回は「適正価格で持ち家(不動産)を購入する方法」を公開していきたいと思います。
【1:新築は買うべからず】
不動産業界では常識となっていますが、日本の新築不動産の販売価格というのは、適正価格(この場合の適正価格とは、不動産から得られる収益を元にした販売価格)よりも1~2割ほど割高です。これについては、正当な理由がまったくありません。こんなことがまかり通っているのは、世界でも日本だけです。
背景には日本特有の「一国一城の主」という考え方があるわけですが、こんな考えを市場原理に取り込んでいる国も珍しいでしょう。素人からみて適正価格がわかりにくいという、不動産の特殊な市場性がこういった状況を生んだのでしょう。
「他人の使い古しはいやだ」「なんとなく気分が悪いから新築に住みたい」という方は、リフォーム業者を雇って、中古住宅を綺麗にすればよい話です。
例えば、市場価値2000万円/54平米の物件があるとしましょう(駅などからやや離れた案件のサンプリングケースです。もちろん収益還元法以外のやりかたで査定されていた場合は周辺の施設利便性など余計な要素も加味されて価格が決まるため、あくまで一例だとお考えください)。壁紙を張り替える場合の相場は、1平米1500円程度、複数の業者から「相見積もり」を行えば、さらに価格は安くなるでしょう。壁紙張り替え量は1500円×54平米=8万1000円なので、仮に10万円と試算しましょう。
ちなみにこのケース物件を新築で購入する場合の取得価格は、市場価値の1割増し=200万円増となります。これでは、どちらがお得かというのは一目瞭然ですね。
【2:販売価格は気にしない】
不動産の提示販売価格というのは適当ですので、提示価格はあくまで基準と考えて、収益還元法を元にした価格を算出して、不動産業者との交渉に臨みましょう。
「収益還元法がわからない」という方が大多数を占めるでしょうが、理解している必要はありません。不動産業者に「この物件、◯◯という額がついてますが、収益還元法で算出したらいくらぐらいになるんですかね?」と聞けばよいのです。そういった顧客のニーズを満たすために、不動産のプロである業者が間に入っているのですから。
もし、業者が「わからない」と言えば、そのような業者とお付き合いしていても、絶対に良い買い物ができませんので、新しい業者へ乗り換えましょう。
では、みなさんの親身になって不動産を探してくれる「プロの不動産業者」は、どうすれば見つけられるのでしょうか?
いろいろと基準はありますが、業者に「あなたは投資用不動産で、どのような案件を持っていますか?」と、質問してみてください。
これは不動産業界に限った話ではありませんが、本当に自身が仲介している案件で収益を得ている人はまれです。つまりこの質問を行うことにより、実際に本業の知識で収益を上げている=少なくともよい物件を探す能力がある、という人を選別するわけです。
【3:「安い」不動産を見つける】
前の2つに比べると、やや上級編です。先ほど、不動産の提示価格というのは適当だと書きましたが、本来の価値よりも不当に安い物件が転がっている可能性も十分にあるわけです。