自宅売却で税金が数百万円…かかる税金を安くするための要注意チェックリスト
今回は前回に引き続き、譲渡所得について、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。
亮子「家を建てた時の金額を計算するための書類は、契約書でいいのかな?」
啓子「実際の建築費だけではなく、登記費用なども取得費にできる可能性があります」
亮子「取得費をできるだけ大きくすることが節税につながるはずだから……」
啓子「関連する書類をできるだけなくさないでおきたいですね!」
建物の構造によって譲渡所得が変わる?
譲渡所得の金額を左右する取得費。この取得費をきちんと計算することは大切です。不動産の取得費とは、その不動産を購入する時にかかった代金等のことです。土地と建物に分けて考えます。
土地の取得費とは、土地を購入した時の購入金額です。購入代金には仲介手数料なども含まれますが、この点は後述します。
一方、建物の取得費は、前回に少し触れましたが時の経過などによって価値が減るという考え方に基づいて、購入代金から価値が減った分(=減価償却相当額)を差し引いて計算します。つまり、建物の取得費を計算するためには、購入時から売却時までに、どれぐらい価値が減ったかを意味する「減価償却相当額」の計算方法を知る必要があります。
減価償却費相当額というと、難しいように感じるかもしれませんが、要は建物の購入金額を使用できる期間に分け、その期間の経過とともに価値が減るように計算をするということです。建物を使用できる期間は、税金のルールであらかじめ建物の構造・使用用途によって決められています。次の使用期間(税務上は耐用年数といいます)はマイホームの減価償却計算のために適用する年数です。また、償却率とは、耐用年数に応じた1年あたりの価値が減る割合を表した率です。
そして、これらの耐用年数を使って、減価償却相当額を次の計算式で算出します。
・減価償却相当額 = 建物の購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
たとえば、購入代金が3000万円の建物を経過年数10年後に売却する場合の構造ごとの取得費は、それぞれ次のように計算します。
(1)木造
減価償却相当額 = 3000万円 × 0.9 × 0.031 × 10年 = 837万円
取得費 = 3000万円 - 837万円 = 2163万円
(2)れんが造
減価償却相当額 = 3000万円 × 0.9 × 0.018 × 10年 = 486万円
取得費 = 3000万円 - 486万円 = 2514万円
(3)鉄骨鉄筋コンクリート
減価償却相当額 = 3000万円 × 0.9 × 0.015 × 10年 = 405万円
取得費 = 3000万円 - 405万円 = 2595万円