IR汚職、多くの国会議員が100万円単位のカネ受領…豪華な接待内容が永田町で話題に
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
1月20日、通常国会が始まりました。会期は6月17日までの150日間の長丁場です。メディアからは「疑惑追及国会」とも呼ばれていますね。
和装振興議員連盟(和装議連)の撮影会も例年通り行われたものの、野党は冒頭から本会議の日程調整に応じないなど、最初から波乱含みでした。応じない理由は、公職選挙法違反疑惑で経済産業大臣を辞した菅原一秀衆議院議員がきちんと説明責任を果たしていないから、だそうです。今さら感しかありませんでしたが、20日に菅原議員が記者会見を開いたので、とりあえずは衆議院の本会議代表質問日程が決まりました。
それにしても、菅原議員は辞任時も今回の会見でも何も疑惑には答えていないのに、自民党はなんの処分もしていませんね。自民党のコンプライアンスは大丈夫なのでしょうか。
たとえば、IR(統合型リゾート)をめぐる疑惑もコンプライアンス的に問題があります。500.comだけでなく、さまざまな国のいろいろな企業から接待を受けている国会議員や秘書たちがたくさんいるのです。受け取っている金額も、100万円単位どころではないとも言われています。
神澤は、そうした豪華な接待の様子を秘書仲間から楽しそうに教えてもらったことが何度もあります。「接待の内容」が男性秘書向けだったので神澤は同席していませんが、いろいろな接待があるんですよ。
しかし、接待を受けたところで、今時国会議員や秘書にできることなど正直ありません。100万円の現金を受け取った場合は、白須賀貴樹衆議院議員のようにアポイントの仲介ぐらいはするかもしれませんが、それもただのパフォーマンスです。\船橋利実\衆議院議員のように、100万円もの大金をもらってもアポイントの仲介すらできない議員もいますからね。
ただ、政治家との付き合い方を熟知している企業であれば、それでもいいんです。ほんの少しだけでも早く情報をもらえて、面会の申し込みは優先して調整してもらえる。その程度でも、他企業との競争の上でメリットが大きい、ということでしょう。
秋元議員を再逮捕した検察特捜部の“焦り”
もし、みなさんがこのような政治家とお付き合いをしたいなら、裕福な家庭環境で育ってきた秘書とお友達になることです。そして、「お金にうるさくないタイプ」の秘書を見つけるのです。そういう秘書はお金の価値をよく理解しているので、金銭を要求してくることはまずないです。
本来は、陳情する際には実費だけで、あとはお気持ちで「手数料」として報酬を払うのが通例でした。実費は陳情の内容を精査するために必要な調査費用で、資料代や交通費などを指します。
一昔前は、報酬はこちらから要求しなくても依頼者が自発的に用意してくれました。しかし、今は陳情を聞いて特に何もできなくても、議員や「あやしい感じの秘書」の側から要求することもあるそうです。そういえば、片山さつき参議院議員の事務所にそんな秘書がいたと、週刊誌に書かれたことがありましたね。
神澤が知っている秘書の中にも、そういうタイプがいます。昨年のクリスマスに逮捕された秋元司衆議院議員の秘書たちは、このあやしいタイプに分類されるのでしょう。しかし、あくまでも「詐欺師まがい」で実際に詐欺行為まではしていないので、書類送検だけで済んだのではないでしょうか。
秋元議員も、いろいろと受け取っていた記録が次々に見つかっているようですが、どんなお返しをしたのかという話は聞こえてきません。秋元議員を再逮捕した東京地検特捜部は実は焦っているのかも、と思っています。今回のIR問題の本丸は閣僚クラスだと思いますが、そこまで追及できる証拠は見つかっていないのかもしれませんね。
つい最近、元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告に「人質司法」を批判されたばかりですから、「秋元議員の自白だけが頼り」という捜査では検察への批判が強まるだけでしょう。
取り調べの可視化も、現行の限定的な範囲ではなく、任意・強制を問わずすべての取り調べに導入すべきだと思います。また、取り調べを受ける側が弁護士の同席を求めたときは認めるべきです。
そして、検察官は捜査の見込みが間違っていたと気づいたら、すぐに方向性を転換すべきです。それは恥ではなく、当たり前のことです。不当な取り調べや判決で人生が狂わされた人たちが大勢いることを忘れずに、警察も検察も取り調べをしてほしいと思います。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。