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確定申告、妊婦が予約して税務署へ→3時間も行列で体調悪化…係員は対応拒否

文=Business Journal編集部
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「e-Tax」より

 今年も確定申告のシーズンを迎えたが、妊娠中の女性が事前にLINEで申告相談の予約をしたうえで初日の2月16日に税務署を訪れたところ、立った状態で3時間も行列に並ばされ体調が悪くなり、係員に相談したものの、そのまま並んで待つように言われ、列を離れてトイレで嘔吐し、確定申告をできないまま帰宅せざるを得なかったというX(旧Twitter)上のポストが反響を呼んでいる。この女性がX上に投稿したポストによれば、並んでいる途中で体調が悪くなり10分ほどその場にしゃがみ込んだものの、放置されたままだったといい、税務署の対応に批判が広まっている。確定申告時期の税務署や専用会場の混雑は例年のことだが、行政として抜本的な対策が求められている。

 国税庁は確定申告会場を訪れずにオンラインの「e-Tax」を利用して確定申告を行うよう呼びかけているが、以前からe-Taxは使いにくさを指摘する声も根強く、さらにマイナンバーカードの所有が必要であるため、依然として多くの人が会場を訪問している。特に今年は昨年10月からインボイス制度が開始されたこともあり、申告人数や相談のために税務署や会場を訪れる人が増加すると予想されている。

「e-Taxは使いにくい“クソ”システム。何年たっても改善されないのは、本当になんとかしてほしい。30~40代の人でも難しいのに、高齢の人にまでこれを使えというのは無理がある。e-Taxの使い方も含めて税務署は電話でも確定申告に関する相談を受け付けているが、つながらずに延々と保留音のまま待たされるし、初めて確定申告をする人が独力でe-Taxや郵送で済ませるというのはハードルが高い。結果、会場に行かざるを得ない人が生じるのだろう」(30代の個人事業主)

 税務署や申告会場に入場するためには当日に現地で配布される入場整理券が必要だが、係員に相談しながら申告を行う場合は、国税庁のLINE公式アカウントからも整理券の取得が可能。LINEアプリから国税庁LINE公式アカウントを友だち追加し、「トーク」画面から「相談を申し込む」を選択し、税務署と来場希望日時を選択。入場時に申込完了画面を提示するという流れだ。上記ポストを投稿した女性も事前にLINEで予約した上で訪問したのだが、なぜ3時間も立ったままで待たされるという事態が起きるのか。

「このLINE予約の問題点は、予約した時間帯に『会場に入れる』だけであって、その時間に『相談が始まる』わけではないという点。さらには、LINE予約でその時間帯に会場に入っても、当日会場で配付された入場整理券で入った人よりも優先して相談を受けられるわけではないので、予約なしで入った人と同じく行列に並ばされることになる。確かに国税庁のHPにもその旨が書かれているのだが、普通は『予約したらその時間に相談できる』と考えてしまう。なぜわざわざ混乱させるような意味不明な仕組みを導入しているのかが不思議」(税理士)

 実際にこの女性もXで、

<予約の人も整理券を受け取った人ももう関係無くみんな来た順に並ぶみたいな列になってしまってました>

<予約時間の確認もされなかったので、早く来た順でしかなくて、整理券も予約も全く無意味でした>

と報告している。ちなみにこの女性は並んでいる途中で係員に妊娠中で体調が悪くなった旨を伝えたが、係員からは「立っているが辛いのは、あなただけじゃない」「列から外れるなら、お帰りいただくしかない」などと言われたという。

一律ではない税務署の対応

 なぜこうした悲惨な事態が起きるのか。税理士はいう。

「まず、政府が推進している、妊婦や子供連れの方を優先させる『こどもファスト・トラック』をすべての税務署・申告会場で導入すべき。民間企業や商業施設でも導入が進んでいるのに、行政機関でやっていないのはおかしい。また、行政か民間かに関係なく、体調が悪くなった人が発生した場合はしかるべき対応を取るというのは、施設運営者が守るべき大原則。ファストフード店だって、体調が悪くなった妊婦の方がいれば、迅速かつ最優先に対応する。行政機関であれば、なおさらだろう。

 ただ、対応は税務署や申告会場によってまちまちで、一律ではなく、さまざまな面で配慮が行き届いている税務署もあれば、そうじゃないところもある。場所によって来場者の数に差があり、たとえば、ものすごく混雑する会場だと係員の人手が足りないため対応が悪くなってしまうということもあるだろうし、入念に事前に対策を打っている税務署だと混乱も少なく対応も丁寧になるだろう。そもそも税務署が人手不足のところに、わずか1カ月の間に2000万人以上の国民がどっと確定申告を行うことに無理がある。使いにくいe-Taxを多くの人が使えるように改善すべきなのは論を待たないが、確定申告の方法を簡素化するなど、根本的な部分にメスを入れるべき」

 別の税理士はいう。

「おそらく、あと10年は確定申告の煩雑さや面倒さは改善されないので、国に改善を期待するのは諦めたほうがいい。『なんで納税するために税理士に自腹で金を払わなければならないのか』と疑問を感じるのは無理もないが、手間や不備があった場合のペナルティーなどを考慮すれば、プロの税理士にお金を払って丸投げしたほうがトータルでみれば安いと考えるのも一つの手だ」

(文=Business Journal編集部)

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