東京・新宿区の新宿ゴールデン街につながる遊歩道・四季の路にある車椅子用スロープに車両進入防止用のブロック、車止めが置かれていることに、疑問の声が広がっている。どのような理由なのか、新宿区に聞いたところ、意外な事実が判明した。
外国人観光客も集まる観光名所となった新宿ゴールデン街へ靖国通りからつながる新宿遊歩道公園・四季の路は、新宿区役所横の区役所通りの1本先の位置にあり、夜はゴールデン街へ向かう人々で賑わう場所として知られている。一般社団法人新宿観光振興協会のHPによれば、「昭和45年に新宿始発の路面電車が廃止になり、都電の引込み線専用軌道敷跡」(同HPより)に昭和49年に完成したといい、「みどりの新宿30選」にも選ばれている。
そんな四季の路に設置された車止めが議論を呼んでいる。公園や遊歩道の入口などに、自動車や自転車、オートバイなどの進入を防止するための車止めが設置されている光景は珍しくないが、四季の路では車椅子用スロープに設置されており、車椅子を使う方が通れなくなっているのだ。この実態をめぐりSNS上では、
<誰も疑問に思わなかったのか>
<だったらそもそもスロープなんて必要ない>
<意味不明>
<何考えてるのかわからん>
<何のためにスロープがあるのかとか誰も考えない>
<思考停止で作ったんだとは思う>
などと、さまざまな声があがっている。
そこで、新宿区に聞いた。
――スロープに進入防止用のブロックが設置されている理由は何か。
スロープは隣接するホテルが建設された際、ホテルと新宿区の協議の結果、設置されました。スロープには当初、車止めは設置されていませんでしたが、自転車や自動二輪車が通行して一般の方々の安全上、危険が生じたため、石の車止めが設置されました。ただ、この通路の維持・管理はホテル側が行う旨を定めた協定書は存在しますが、この車止めを新宿区が設置したのか、ホテルが設置したのかは現時点では確認できておらず、設置者は不明です。
ちなみに、通常は公園・遊歩道の設置者は入り口などの車止めとしてボラードや防護柵などを使いますが、当該スロープでは比較的高価な御影石が使われているとみられます。なお、現在では公園と民地の間に通路はつくらないことになっております。
――今後、何らかの対応を取る予定は。
区としましては現状が好ましいとは思っておりません。車椅子の方がこのスロープを利用でき、かつ車止めの機能を果たせるものを設置する方向で検討しております。物理的にそのようなものが設置可能なのかどうか、また、そういう機能を持つものがあるのかなどを今後検討してまいります。
(文=Business Journal編集部)