苦境のギャル雑誌に夢を抱くバー店員・カナさん(20歳)
モデルは、女子たちの憧れの職業のひとつだ。しかし、モデルの主戦場であるファッション誌は、昨今の出版不況の煽りを受け、アラフォー向けなど一部を除き、軒並み苦戦を強いられている。
特に「雑誌を買う」という習慣が根付いていない若者層をターゲットにした雑誌は苦しい。昨年、「egg」(大洋図書)、「EDGE STYLE」(双葉社)、「Happie nuts」(インフォレスト)、「BLENDA」(角川春樹事務所)など、一時代を築いたギャルファッション誌の休刊が相次いだ。
そこで今回、モデルの現実や私生活に迫るべく、ギャルファッション誌に夢を抱き読者モデルとして業界に飛び込んだカナさん(20歳)の自宅を訪問した。
【お宅訪問の動画はこちら】
カナさんは、東京・杉並区の実家住まい。最寄り駅から徒歩6~7分の自宅の8畳程度の部屋で生活している。
壁やフローリングが白だったこともあり、「インテリアはなるべくホワイトをベースにしました」とカナさんは語る。ベッドの枕元には複数のぬいぐるみが飾られており、モノマネメイクでブームを巻き起こしたざわちんのほか、Sexy ZoneやKis-My-Ft2といったジャニーズアイドルのポスターも貼られている。典型的な「女の子の部屋」といった印象だ。
「ざわちんのポスターは、イベントに行った時のものです。でも、実はそんなに好きじゃなくて……。カレンダー付きで便利だから貼ってるだけです」(カナさん)
しかし、ジャニーズアイドルのポスターに関しては、こう語る。
「中3の頃から、しばらくSexy Zoneの中島健人君にハマッてたんで、枕元にポスターを貼ったんですよ。でも、それからちょっとたってから、中島君よりKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔君のことを好きになっちゃって。だから、天井のポスターはキスマイ。藤ヶ谷君は今27歳で、21歳の中島君よりも大人の色気があるんですよ~」(同)
収入は、ほとんどファッションに消える
ここで、カナさんの月収額とその内訳、そしておおまかな支出額の内訳を紹介しておこう。
【月収額 約8~10万円】
・バー店員の給与。モデルとしての収入は、ほぼなし。
【支出額 合計・約10万円】
・親への納金 0円
・食費 2~3万円
・通信費(携帯電話) 約1万円
・被服費 約5万円
・交際費 約1万円
カナさんが働くバーは、「お客さんにシャンパンを入れてもらったりすると、私にバック(マージン)が入る仕組み」とのことだが、「決してキャバクラやガールズバーではない」と、頑なに否定していた。
そして驚きなのが、収入の約半分をファッション(被服費)に費やしているということだろう。
「渋谷の109に行くと、かわいい服がたくさんあって、ついつい買っちゃうんですよ。『2点買うと1割引』とかの商品を見つけちゃうと、『今買わなきゃ損する!』って思い込んじゃって」(同)
今春に短大を卒業したため、両親からは「2~3万円でもいいので、家にお金を入れてほしい」と言われているようだが、「来月とか再来月ぐらいに一人暮らしを始めようと思ってて、今、貯金をしているところなんですよ。だから、ちょっと家に入れる余裕ないかな~。今の貯金額ですか? えっと……4万円ぐらいですね」(同)
ちなみに、カナさんのモデルとしての収入はほぼ0円で、“職業モデル”というわけではないようだ。
現在のモデル活動だが、「ガイアが俺にもっと輝けと囁いている」「今宵は俺のナイトメアで酔えばいい!」「俺はもう既に本物のヒョウなのかもしれない」「AKBとか知らないけど、たぶん全員抱いたぜ」などの珠玉のキャッチコピーで一世を風靡した、お兄系ファッション誌「MEN’S KNUCKLE」(ミリオン出版)にレギュラー出演中だ。「MEN’S KNUCKLE」では、グラビアページなどで赤裸々な体験談とともにセクシーな姿を披露している。
また「S Cawaii!」「姉ageha」(ともに主婦の友社)といったギャル雑誌にも、まだまだ駆け出しながら登場しているそうだ。
「最悪、なんとかなるかなって」
そんなカナさんがリスペクトするのは、モデルでタレントの益若つばさだ。「Popteen」(角川春樹事務所)の読者モデルから成り上がり、ギャルや元ギャルの10~20代に向けたさまざまなアイテムをプロデュースするなどして成功を収めている彼女に、カナさんは憧れを抱いているようだ。
「私もつばさちゃんみたいになれたらいいな~って。モデルの売れ時って、やっぱり賞味期限があると思うんです。だから“今”の時間を無駄にはできないですよ。アパレルのショップとかじゃなくてバーの店員をやっているのは、こっちのほうが人脈を広げやすいかなと思ったから。モデルの業界には、私よりかわいいコやスタイルがいいコなんて、いくらでもいるんです。でも、そんなコたちよりも人気者になるにはどうすればいいかって考えたら、“上の人”とかに気に入られる必要があると思うし……。それに、もしモデルとして売れても、人気がなくなってからが大変じゃないですか。そうなった時にアパレルの仕事ができるように、短大は服飾系のところを選んだんです。だから最悪、なんとかなるかなって思ってます」(同)
カナさんはカナさんなりの人生設計プランを抱いているようだ。
(文・動画製作=昌谷大介/A4studio)