男女で脳の使い方が違ったり、自分の話をすると脳は快感を得られたり…私たちの脳には、不思議なことがたくさんある。
そんな脳の不思議をエッセイ形式で柔らかい文体で説明してくれるのが、脳に関する著作が多数ある脳研究者の池谷裕二さんによる『パテカトルの万脳薬 脳はなにげに不公平』(朝日新聞出版刊)だ。
本書は、「週刊朝日」(同)の連載「パテカトルの万能薬」から厳選したエッセイが収録されており、最新の科学論文を、解釈を加えながら池谷さんが紹介する一冊だ。
■「女性はおしゃべりが好き」はウソ! では、男女の脳の違いは?
例えば「男女で脳の使い方は違う」と言われるが、どのような違いがあるのだろうか?
実は脳の構造だけ見れば大きな性差はないそうで、かつて言われていた「女性はおしゃべり」という言説も、男女差に違いは認められないことが判明しているという。この点について池谷さんは「古めかしい男性の側からみた一方的な誤解に起因している可能性がある」と指摘する。
ただ、男女の脳の使い方には違いがあることが分かってきているという。例えば、スタンフォード大学のライス博士らの研究では、「冗談」を聞いたときに女性のほうが快楽に関与する部位が強い活動し、ユーモアを楽しんでいる傾向が見えたという。
その部位は「側坐核」の活動は、期待と現実の差に比例する。この場合、男性は「オチの前からその結果にこだわっている」ことに対し、女性は「素直に提示されたオチを楽しんでいる」と推測できるのだ。
また、他にも「マネをすると好感度が上がる」「手を握るだけで記憶力は上がる」といった実用的なネタから、「上流階級ほどモラルが低い?」「自分が下す『判断』はとても曖昧」など、ちょっと気になる内容まで様々な脳のエッセイが収録されている。
人間の体や思考がなぜそうなるのか。こういった疑問を紐解いていくと、脳の仕組みや働きが関係していることが本書を読むとわかる。脳の不思議を読み解いてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。