■行き過ぎた税金対策が招くもの
事業が順調に育ち、利益が大きくなってくると、経営者の心が向かいがちなのが「節税」。納める税金は少なければ少ないほどいいと考えるのが人情ではあるが、今後も店舗を増やそうと考えているなら安易な税金対策は自分の首を絞めてしまうことにつながるので注意が必要だ。
税金対策の基本的なアプローチは「利益を抑える」こと。「ギリギリ黒字」というラインに近づけるほど、支払う税金は少なくて済むわけだが、これはいざ事業を拡大しようとした時に、「経営状態が良くない」と判断されて銀行から融資を受けにくくなってしまう恐れがある。前述の「格付け」にも悪影響が出やすいのだ。
もちろん節税対策は必要に応じてやればいいのだが、事業自体の進み行きによって「このくらいの利益を計上しておいた方がいい」というラインはある。決算書作成を専門家に任せるにしても、人によっては節税ばかりすすめて格付けが上がらない決算書を作ることもあるので注意が必要だ。
独立を計画し、開店させ、軌道に乗せて、そして多店舗展開という一連の流れの中に「資金難」に陥る分岐点は無数にある。そのたびに立ち止まり、正しい判断をするために、飲食店経営を志す人にとって、資金や融資の知識はいくら持っていても持ちすぎということはないだろう。
経営者であれば、事業が「ヒト・モノ・カネ」の三要素で回っていることは心得ているはずだが、企業が倒産する要因であり、事業拡大のカギになる「カネ」、つまり「資金繰り」については、その重要性に反して苦手にしている経営者も多い。事業を推し進める過程で、どの状況、事業のどの段階にどのような資金面のリスクがあるのかという点について、『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル: 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』には実例を交えて解説されており、多くの示唆を得られるはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。