今の仕事に自分自身でコントロール感を持てないなら、本気で転職を考えないとマズい理由
「不機嫌な職場」が増えている
しかし、失業よりも悪いことがあります。それは嫌な仕事に就いていることです。自分の仕事に感情移入できない、仕事で疎外感を感じるなどの職についている人は、失業状態にある人よりも幸福度が低いそうです。
「不機嫌な職場」が増えているという意見がありますが、これの原因を一言で言えば、多くの人がやりたくない仕事をやっている状況であると言えます。そのなかで人々は笑いを求めたり、仲間をつくってやりがいを探したりすることでなんとかやり過ごしています。
最近、仕事中のふざけた行動をスマホで撮影し、SNSに投稿することが問題になっています。いろんな意見がありますが、私はこれは、ややもすれば不機嫌になりがちな職場に、なんとか人間らしさを取り入れよう、自分は記号で呼ばれるオペレータではなく、創意工夫のできる名前のある個人であることを示そうとする、心の叫びではないかと思います。
彼らの動機はチャーリー・チャップリンと同じだ、というのは言いすぎでしょうか。チャップリンが演じる主人公は、ホームレスだけれども紳士としての威厳をもち、優雅な物腰とその持ち前の反骨精神でブルジョワを茶化し、権力を振りかざすものを笑い飛ばしました。これらの投稿を寄ってたかって叩く世の中はとても息苦しく感じます。
ところで仕事というと、嫌なものだという響きがあります。労働というと、疲れるものというイメージがあります。仕事はやらされること、労働は生活のためと考える人は多くいると思います。働き方改革が社会的テーマになっていますが、そもそも私たちはなぜやりたくもない仕事を長時間やるようになったのでしょうか。
日本人は産業革命の波が日本に入ってくる前から勤勉であったという説があります。それは「勤勉革命」があったからというのが、その理由です。ちなみに「産業革命」を「Industrial Revolution」と言いますが、勤勉革命は「Industrious Revolution」と名付けられています。英語にすると語呂の対比が面白いですね。
江戸時代の日本の経済は、その前半に耕地の拡大と農業生産性の上昇によって、人口がほぼ倍増しました。その理由は、農民が農業経営者として自分自身で責任を負うシステムに変わったことではないかと言われています。つまり、自らがコントロールできる範囲が増え、がんばればがんばるほど結果が返ってくることが身をもって理解できたため、勤勉になったということです。