コンサル業界転職支援のプロが教える、面接で絶対に準備すべき“5つの質問”と答え方
昨今、日本国内の各業界では不況が叫ばれており、業績が低迷している業界・会社も多くあると思います。そんななか、前回の記事でも触れたように、コンサルティング業界では業績を伸ばし、変わらず拡大を続けている企業も多く、各社依然として積極採用を続けています。また、求職者様側の視点から見ても弊社(ムービン・ストラテジック・キャリア)への登録者数は毎年増加し続けている状況にあります。
今回は、そんなコンサルティング業界のなかでも特に根強い人気があり、また入社難易度も高い戦略系コンサルティングファームと総合系コンサルティングファームにフォーカスして、その中途採用の選考における概要や対策のポイントをお伝えいたします。第2回では、具体的な各ステップの対策ポイントをお伝えさせていただきます。
2.対策のポイント
2.1 書類選考
前回の記事で、書類選考では学歴/職務経歴/年齢/英語力が主に見られるとお伝えしました。職務経歴以外はすぐには変えることができない項目ですので、ここでは職務経歴書の記載内容にフォーカスして記載します。職務経歴書では、主に以下の3点が確実に伝わるようにしましょう。
(1)どんな業界/会社/部署でどんな業務に従事してきたのか
これは、まさにご自身の経歴概要ともいえるものです。業界/会社/部署/業務を簡潔にまとめることで、まずはご自身の経歴の全体像をおおまかに理解してもらいましょう。また、目立った成果があればそれについても記載しましょう。
(2)現職での経験を踏まえて、コンサルティング業界で活かせる自身の強みがなんなのか
企業側は、「この候補者はうちでどんな貢献をしてくれるのか?」といった目線で選考します。ですので、上記の経歴を経て身に付けた“コンサルティング業界で活かせるご自身の強み”を明確に伝えることで、入社後の具体的な活躍イメージを先方に抱いてもらいましょう。
(3)各業務に対して、どういった取り組み方をしてきたのか
ご自身の経歴を伝える時は、「何をしてきたのか」と同じぐらい「何を考えていたのか」ということが重要になります。上司から与えられた業務をただ機械的にこなしていた人は企業から評価されません。具体的には、自身の業務に対して経営視点で問題意識を持ち、その解決案を模索し、主体的に周りを巻き込みながら解決に取り組んできたということをしっかり伝えましょう。コンサルタントは問題解決のプロフェッショナルですから、現職においても問題解決型で業務に取り組んできたことを示すことで、コンサルタントへの適性の高さが伝わります。
2.2 筆記試験
各試験タイプ(SPI、GAB、玉手箱など)の特徴については割愛しますが、企業ごとにどんなタイプの試験かはだいたい決まっているので、それを理解した上で対策しましょう。
重要なのは2点、解くスピードと飛ばす勇気です。実際、受験者の皆様からのフィードバックを伺うと、お見送りになった方の大半が「全然解き終わらなかった」と話します。一部の企業を除き、問題そのものの難易度はさほど高くなく、コツがわかっていればすぐに解けるものも多数あります。ですので、解法を身体に覚えさせて条件反射で解けるようにトレーニングしましょう。
そして、一般的なGABや玉手箱タイプの場合、合格点は高くても6~7割に設定されていることが多いです。つまり、是が非でも9割の正答率を出す必要がありませんので、最後まで解き終わるためには1割程度であれば思い切って飛ばす勇気も時には必要です。
2.3 面接
この章では、選考概要の面接編でお伝えした具体的な5つの質問例について、準備におけるポイントを簡単に整理します。
(1)なぜコンサルタントになりたいのか
コンサルタントに対する志望動機を述べる際のポイントは主に3点です。
1点目は、「顧客志向」です。コンサルタントは高額なフィーを頂いて顧客のために仕事をしますので、スキルアップや経験といった自分本位な理由ではなく顧客志向のマインドを伝えましょう。
2点目は、「必然性」です。「コンサルタントでないといけない理由」を語らなければ相手は納得しません。コンサルタントが問題解決のプロフェッショナルである点を意識した上で志望動機に落とし込みましょう。
3点目は、「実体験」です。企業に対するコンサルタントの必要性や社会動向などを一般論的に語るのではなく、「どんな経験からコンサルタントになりたいと思ったのか」を実体験ベースで語りましょう。実体験によって感じた思いに対して他人がそれを否定することはなかなかできませんから、納得感の醸成につながります。
5つの質問例の中でもこの質問が最重要であり、ここで面接官が納得しないと面接を通過することは基本的にありません。最も力を入れて対策すべき事項ともいえます。
(2)コンサルタントになって何がしたいのか
「企業の問題解決がしたい」「困っている会社を助けたい」といった抽象度ではなく、“どんな問題”を解決したいのか、“どのように”貢献したいのかといった志向をしっかりと整理しておきましょう。業務領域や、さらにその中でもどんなテーマに興味があるのかまで整理するとよろしいかと思います。コンサルティングのテーマ例としては、各社のホームページに記載の事例集なども参考にしてみてください。
(3)現職の経験から何が活かせるのか
書類対策の章でもお伝えしましたが、具体的な活躍イメージを持ってもらうことはとても重要です。職務経歴書では、「実際にどんな経験をしてそのスキルを得たのか」というふうに過去(=実際にやったこと)に軸足が置かれるのに対して、面接ではそれに加えて「そのスキルを活かして具体的にどんな活躍ができるのか」というふうに未来(=入社後の貢献)の軸でも語れるようにしておきましょう。この準備にあたっては、コンサルタントの業務内容に対する理解が必要であるということは言うまでもありません。
(4)現職でどんな事を考えながら仕事をして、どんな工夫をしてきたのか
こちらも、概要は書類対策の章に記載の通りです。「成功・成果を振り返り、その再現性を自分で認識できている」ということを相手にしっかり伝えましょう。事業会社からコンサルタントに転職する場合、業務内容や成果そのものは転職先に持っていくことはできません。ですから、成果そのものではなく、その過程で問題がどこにあって、どう打ち手を考えて、打ち手を実行する際の難しさやそれを乗り越えるためにいかに工夫したのかをしっかりと整理しておきましょう。
(5)自社の課題は何か
自社の課題を聞かれた時に、多くの方は自分の業務・しくみ面の課題を答えてしまいがちです。コンサルタントの使命は経営課題の解決ですので、その適性が高い人は日頃から自社を経営視点で捉えているものです。よって、課題を問われた時にはしっかりと経営レベルの課題を話すようにしましょう。とはいえ、現場業務に邁進するなかで常日頃から経営視点でい続けるのもなかなか大変かと思いますので、自社のIRやトップメッセージなども参考にするとよろしいかと思います。
前回・今回の記事では、コンサルティングファームについて、その中途採用の選考における概要や対策のポイントをお伝えいたしましたが、弊社にご登録いただいた候補者様に対してはより踏み込んだ、具体的な対策を個別で実施させていただいております。また、弊社HPには各コンサルティングファーム幹部のインタビュー記事や業界情報を多数掲載しておりますので、ご参考いただけますと幸いでございます。
(文=成塚健史/ムービン・ストラテジック・キャリア)