美しい容姿に華やかで謎めいた私生活。
叶姉妹は、本人たちもよく使う「ファビュラス」という言葉をそのまま体現したような魅力をもつ女性ユニットだが、近年ではネットを中心に完成度が高すぎるコスプレでも度々話題になっている。
『叶恭子の心の格言 あなたの心にファビュラスな魔法を』(ポニーキャニオン刊)は、叶姉妹の「姉」である、叶恭子さんの写真と格言をまとめた本だ。
本書の中で恭子さんは、ファンからの質問に答える形で自身のコスプレ観を語っている。
それによると、恭子さんは自身のことをコスプレイヤーではないとしている。
それは、「世界的にコスプレイの定義があまりに広く、安易にカテゴライズすることはよくないことと考えているから」(原文ママ、p.179より引用)なのだそう。
叶姉妹のサブカルチャーに対する敬意と配慮は有名で、2016年にコミックマーケットへ参加した際には「支払いは現金で行うこと」「会場が広いのでヒールの高い靴は避けること」などといった、ファンからのアドバイスを素直に受けてイベントへ臨んだ。さらに、翌2017年にはサークル参加も果たしている。
芸能人がサブカルチャーへ近づく場合、批判を受けてしまうこともある。しかし、叶姉妹が受け入れられた背景には作者やファンへのリスペクトがあるからかもしれない。
恭子さんはコスプレをする際、その作品をすべて網羅してから取り組んでいるという。ただ見た目を真似るのではなく、キャラクターへの愛があるからこそのクオリティなのだ。
叶姉妹は『ファビュラス 叶 コスプレアート写真集 FABULOUS COSPLAY WORLD』という本を出しているが、この写真集を出す上で、二人で慎重に確認し合ったことがあるとつづっている。本書から引用しよう。
「これは自分自身の写真集でありながら自分自身が違うものを誠意と敬意をもって表現し観てくださる方々の心が次元を越えて自由になって感動できるものを丁寧につくりあげる心としてとりかからなければならないとても神聖でアーティなプロジェクト、その覚悟とパッションを持ってわたくし達なりのベストを尽くし全力で取り組むつもりであることを。」(原文ママ、p.179より引用)
これが、叶姉妹が確認した「覚悟」だ。独特な言い回しだが、誠意や敬意、ベストを尽くそうとする姿勢がうかがえる。こうした覚悟があるからこそ、叶姉妹は受け入れられているのだ。
コスプレをアートの域まで進化させ、その美しさでファンを魅了し続ける叶姉妹。“アメージングでマーベラス”な二人の活躍に今後も目が離せない。
(ハチマル/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。